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石井苗子の健康術

yomiDr.記事アーカイブ

薬を飲まなかった理由は?

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(きちんと飲んでいただくためには、どうしたらいいのでしょうか)

 かんたんな事なのですが、医学に関して自分の裁量でやりやすいのは、「薬を飲むか、飲まないか」だけなのです。放っておいても自然治癒する病もあるでしょうが、たいていの場合、人は辛かったり苦しかったりすれば、なんとか楽になりたいと思うのはごく普通のことです。だから薬を頼りにします。

 ところが診察室に行くと、薬だけを処方するような態度で接する医師がいることもあります。風邪の場合なんかとくにそうです。「じゃお薬いくつか出しておきますからね、お大事にしてください」で終わり。いつごろから熱が出ましたかとたずねられても、みてもらう方もおおよそのことしか言えない事も常です。

 「なんで薬だけもらうのに診察室に入らなければいけないんだ」とおっしゃる方もいます。「慢性疾患なんだから薬局で薬だけくれればいいんだよ」と。

 今、患者さまの薬のコンプライアンスを良くすることが大きな問題になっています。コンプライアンスとは、処方された通りに薬を飲んでいただくことです。

 薬局の薬剤師さんは説明と間違いなく渡したかどうかはやりますが、それ以上は患者さま任せなので、実際に薬を飲むことは自分の裁量で、どうにでもなると勘違いしてしまう方も多い。

 薬を服用しない人には2パターンあります。治ったからもういいだろうと飲まなくなる人。治らないからもう飲むのをやめようと飲まなくなる人です。副作用が激しい場合は、医師に相談する人と、薬と医師の両方ともやめてしまう人に分かれます。

 ある大手製薬メーカーが、「患者さんは、なぜきちんと薬を服用しないか」という調査を実施した報告書を読みましたが大変興味深いものでした。

 飲み忘れが70%以上。6割以上の人が、薬の服用を途中でやめている。4人に1人は、自己判断で処方された薬の用量を調節している。

 最後のは私もやってしまいます。

 「この薬全然効かないじゃないか!」と腹が立つときがあるからです。たいてい、用量を増やしても効かずにやめてしまいます。こうした場合、医師の診たてが悪いということもあります。しかし、どんな場合でも医師とのコミュニケーションは、非常に大事です。

 こんなことがありました。処方された薬の半分しか飲んでいなかった患者さまが医師に「きちんと飲んでますか?」と聞かれ、思わず「はい」と答える。飲んではいるのですからYESでしょう。ところが一向によくならないので医師は薬を追加してしまいました。これは病状が悪化したに違いないと不安になった患者さんが、その時点からしっかりと規則正しくすべての薬を服用したところ、効きすぎて副作用に悩まされることになりました。

 心療内科でもこの例はよくあります。それで自宅から電話が頻繁に先生のところにかかってくる。先生は電話ではよくわからないので、診察室に来てもらいたいが、当人はフラフラでそれどころではないと言う、といった具合です。

 最近の患者さまは、インターネットやテレビで情報を収集します。それは悪いことではないのですが、その情報がすべて自分にも当てはまると思ってしまうことが間違いなのです。それらの情報がすべて正しいと思うことは大変危険なことなのですが、これがマスメディアの力というもので、テレビの力は今もって大変な威力を示します。

 その製薬会社の報告書に面白いクイズが載っておりました。


  ここで問題です。男性より女性に多く見られる「薬を飲まなかった理由」は次のうちどれでしょう。

1.他人になにか言われた

2.食事が不規則

3.副作用が心配

4.面倒くさい

5.薬の量が多すぎる

6.仕事が忙しい

7.薬が手元にない

8.酒を飲んで忘れた



 正解は 1.3.5.7。私個人は2.4.6.8が理由で飲み忘れるのですが、これは男性に多いのだそうです。薬が手元にないというのは、私には考えられないのですが、持ち歩かない女性が多いということですね。薬は家でひとりで飲むもので人前で飲むと「何?それ」って聞かれるのが嫌なんでしょうね。

 薬は飲むと決めたら、持ち歩いてでも飲む。副作用があれば、がまんしないで先生に言う。量を減らしたいなら先生に少なくしていきたいと将来の計画を相談する。コミュニケーションは 突っ込みから始まると思ってください。

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石井苗子さん顔87

石井苗子(いしい・みつこ)

誕生日: 1954年2月25日

出身地: 東京都

職業:女優・ヘルスケアカウンセラー

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2件 のコメント

振り返って見れば

朝ヱ門

 当年88歳、67歳のとき高血圧症ということで処方薬を飲み始めて、現在は循環器(5)消化器(2)泌尿器(2)と合計9種類を毎日飲んでいます。一番...

 当年88歳、67歳のとき高血圧症ということで処方薬を飲み始めて、現在は循環器(5)消化器(2)泌尿器(2)と合計9種類を毎日飲んでいます。
一番心掛けていることは毎日正確に飲むことです。その為検証方法として残数チェックを常にやっています。
 本来健康の方なのでしょう、12歳のときソケイ部ヘルニヤの手術をやって以来二日以上寝込んだ記憶はありません。
何故毎日こんなに薬を飲んでいるのかと言うと、夫々の医師に罹るたびに、積み上げるからだと思います。特段副作用もないようなので、素直に従っています。
提案としては、診療カードをIC化して患者の病歴が夫々の医師に解るようにしたらと思います。

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富山の置き薬は何年も使わないんで、こなくなった。したがって俺様の体に、故意には薬入れてない。酒はあおるし、タバコはすう。仕事も女性も現役。どうせ10年もすればしぬんだからと楽観的な生き方している。健康診断には毎年行く。お金もいらないし。170cm 64kg BMI22.1 West83cm 血圧110/62 2年前80kgでした。

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