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どうする食物アレルギー(上)おかわり禁止の学校も

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苦渋の選択で誤食防ぐ

調布市の事故を受けて開かれた文部科学省の会議。専門医や栄養教諭らが食物アレルギーの実態調査について検討を始めた(23日)

 東京都調布市で昨年12月、食物アレルギーの児童が学校給食を食べて死亡する事故が起きて以来、再発防止の取り組みが各地で始まっている。文部科学省も先週、専門家を集めて会議を開いた。学校や家庭でいま何ができるか考える。

 給食で、食物アレルギーの子どもの「おかわり」を禁止する学校が出ている。

 調布の事故は、乳製品アレルギーのある女児(11)が、おかわりで粉チーズの入ったチヂミを食べて起きた。女児には粉チーズを除いた給食が配られていた。だが、おかわりのチヂミにチーズが入っていたことが見落とされた。

 この事故の翌日から、東京都内のある公立小学校では、アレルギー対応給食が出る日には、対象児童には、おかわりをさせないことにした。学校の栄養士は「おかわりすると、他の児童のおかずを誤って食べてしまうリスクがある」と説明する。

 この学校では、アレルギー原因となる卵や乳などを除いた給食(除去食)は、ほかの児童の給食とは、作る鍋も工程も別にしている。器に盛りつけて蓋をし、クラスと名前、食品名などを書いたシールを貼り付けて配膳。教室では担任が直接児童に手渡す。調理から配膳まで注意を払っているという。だが、おかわりの場面では、確認が十分にできないと判断した。

 東京都足立区では、今年1月から、区内の全小中学校を対象に、アレルギー対応給食を食べている児童・生徒は、どんなメニューであっても「おかわり禁止」にした。

 区教委の担当者は、「保護者や教員から『かわいそう』との声もある。だがその日のメニューや食材をみながら、毎日対応を変えるのはリスクがある」と、やむを得ない選択であることを強調する。

 ただ、都内の別の区の公立小学校では、事故後も従来通り、アレルギー対応給食を食べる児童のおかわりに応じている。児童と担任教師が、その料理を食べられるかどうか、献立表を入念にチェックしているという。おかわりへの対応は、学校ごとに異なっているのが実情だ。

 文部科学省が2007年にまとめた報告書では、全国の公立学校で食物アレルギーのある児童生徒は2・6%。08年には同省が監修し「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」ができた。冷蔵庫や調理器具を使い分けるなど食材の混入や誤食を防ぐ指標を示したが、おかわりについての指標はない。

 NPO法人「アトピッ子地球の子ネットワーク」事務局長の赤城智美さんは、「事故を防ぎきれない現状では、おかわり禁止はやむを得ない面もあるが、あくまで暫定的なものと考えてほしい」と指摘する。「多くの学校では、アレルギーに理解のある栄養教諭らが個人的に頑張っているのが実情。現場の仕組みを整えず、おかわり禁止だけで済ませてほしくない」という。

 文部科学省は、給食対応も含め食物アレルギーの実態調査を実施する予定で、23日に専門医らを集めた調査研究協力者会議を開いた。メンバーの一人で相模原病院アレルギー性疾患研究部長の海老沢元宏さんは「事故を防ぐには献立から配膳まで一貫したリスク管理が必要。チーズが見えない形で料理に入っているという提供のあり方も見直すべきでは」と話している。

 メモ 給食のアレルギー対応は、大きく分けて三つ。アレルギー食材を除いて作る「除去食」と、牛乳の代わりに豆乳を使うなど食材を変えて栄養価を落とさずに作る「代替食・特別食」、そして本人が家庭から持ってくる「弁当持参」だ。

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