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すてきライフ

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黙って見守ってくれる母

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 日本映画の巨匠・木下恵介監督の若き日を描く映画で、監督役を演じました。

 映画作りに挫折し、実家に戻った監督を、母親は心配しながらも黙って見守る。「母の子への愛」が作品のテーマです。

 僕の母はさばさばした性格の明るい人。子どもに対しても細かく干渉はしませんが、やはり僕のことを心配して見守ってくれていると思います。

 父の仕事の関係で、家族で、海外で暮らすことが多かったせいか、小さい頃から自由に育てられました。とはいえ、大学卒業前に突然、「役者になりたい」と告げたら、さすがに父に大反対されました。先輩の出ている舞台に誘われ、生まれて初めて見た芝居の面白さにひかれたのがきっかけでした。父とけんかになり、家を出ました。

 しばらくは父と疎遠になり、代わりに母が時々、電話をしてきました。「役者で食べていけるの」と聞かれたこともありました。俳優の付き人をしながら修業していた時期で、「何とかやっている」と答えるしかなくて。母は、いろいろ言いたいことはあったんだろうけど、それ以上は口にしませんでしたね。自分はまだ親になっていませんが、今回の役を演じて、当時の母の心境が少しわかったような気がします。

 今は、両親も安心したと思います。会うのは年に1、2回ですが、お互いにとって、ちょうどいい関係です。(聞き手・樋口郁子、写真・竹田津敦史)

加瀬亮(かせりょう)さん 俳優。1974年生まれ。2000年、「五条霊戦記」で映画デビュー。映画「はじまりのみち」(配給・松竹、6月1日から公開)に主演。

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