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「暮らしの保健室」を作り、住民相談に応える秋山正子さん(1)

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 東京都内で訪問看護を20年以上にわたって続ける秋山正子さんは2年前、大規模団地の空き店舗を利用して、住民の相談に応える「暮らしの保健室」を開いた。どんな悩みや不安を抱える人が訪れ、それをどう受け止めているのかを聞いた。(田村良彦)

秋山正子(あきやま まさこ)
 1950年、秋田県生まれ。73年、聖路加看護大卒。看護教育に従事した後、92年から東京・新宿で訪問看護に取り組む。ケアーズ白十字訪問看護ステーション所長。

 ――「暮らしの保健室」を作った目的は何ですか。

 忙しい医療現場のなかで、患者さんは多くの不安を抱えています。訪問看護は、がん患者のみならず、重度化して「最期」だけを任されるケースが多く、もっと早い段階からつながっていれば、もう少しゆったりした時間を過ごしていただけるのではないかという思いが強くありました。地域の中に保健室があることで、様々な病気でも、受診や訪問が必要なほどではないけれど悩みを抱えている、という人を支えることができるのではと考えています。

 ――相談に応じるのはどんな人ですか。

 数人の看護師や臨床心理士のほかに、約30人のボランティアが交代で2~3人ずつ常駐しています。ボランティアの中には、以前に訪問看護でみとった方のご家族も多く協力してくださっています。訪問看護では、ご本人や家族が納得して人生を終えることができるためのナビゲートをし、亡くなった後の遺族ケアもします。そして、その中の一部の方がボランティアになるという、地域の中の流れが生まれているのです。

 ボランティアは、定期的に臨床心理士を交えてミーティングを開いています。白十字在宅ボランティアの会で「聞き書きボランティア」の研修を受けた人もいます。聞き書きボランティアには時代背景なども調べて、その方がどう生きてきたかを引き出す力も必要になります。

 ――どんな風に話を聞くのですか。

 高齢化率が40%台後半と高く、一人暮らしの高齢者も多い場所柄、介護や福祉もかかわる様々な相談があります。

 事前に電話がある場合もありますが、多くは直接訪ねてきます。まずは、ボランティアとの井戸端会議のような自然な会話から始まります。「ご心配ごとはなんですか」と声をかけることもありますが、決して無理に何かを聞き出そうとするのではなくて、まず相手の話を聞くようにします。

 専門職もいますが、決してしゃしゃり出てはいきません。医療的な質問が出た時には、ボランティアは無理に答えることはせず、「看護師さんに聞いてみたら」と、専門職につなげるようにします。

 多くの相談は30分から1時間ほどの話の中で解決策が見つかりますが、その後も何度もやって来るリピーターも多いです。ふらっと来ては、顔なじみのボランティアとお茶を飲みながらお話をする。ここに来ると安心するんですね。暮らしの保健室は、人と接する「場」としての役割も果たしています。


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