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最新医療~夕刊からだ面より

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カラーコンタクト 目のトラブル急増…角膜傷つける粗悪品も

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 カラーコンタクトレンズを使う人の間で、目の不調を訴える患者が目立っている。通信販売や量販店で手軽に買えるが、中には品質の良くない製品もある。眼科医でつくる日本コンタクトレンズ学会の調査によると、ケアに問題のあるケースも少なくない。

購入時80%が眼科受診せず

 「カラーコンタクト関連の患者は急増していて、ここ1週間でも3人来院しています。低年齢化も進んでいる印象です」

 今年4月下旬、東京・渋谷の道玄坂糸井眼科医院の糸井素純(もとずみ)院長は、最近の傾向についてそう語る。そのうち一人の女子高校生(17)は、まぶたが腫れるものもらいの症状が出ていた。カラーコンタクトの使い方に衛生上の問題があり、細菌感染したとみられる。

 検査すると、角膜が一部変形し、角膜内皮細胞がダメージを受けて減少しており、「60歳くらいの目の状態」(糸井院長)だった。女子高校生は小学生時代からソフトコンタクトを使用。最近は眼科を受診せず、通販で買った度入りカラーコンタクトを使い、めがねは持っていなかった。

 糸井院長は「酸素透過性の低いカラーコンタクトを使っていたため、酸素不足が角膜内皮細胞の減少を招いたのでしょう」と話す。

 カラーコンタクトは、度なしの場合は雑貨品扱いだったこともあり、トラブルが相次いだ。このため、厚生労働省は2009年から、度なしでも視力補正用コンタクト同様、高度管理医療機器として薬事法の規制対象とした。同学会によると、それを機に承認を受ける品目が大幅に増え、装用者も急増している。

 同学会が12年7月から3か月間、全国の眼科医を対象に調べたところ、カラーコンタクトの眼障害395例が確認された。20代以下が80%以上を占め、内訳を見ると、15~19歳が41%、20~24歳30%、25~29歳16%と、若いほど多かった。

 症状としては、角膜(黒目)の表面に傷がついた「点状表層角膜症」が最も多く37%、次いで、白目とまぶたの裏の薄い膜「結膜」が炎症を起こす「アレルギー性結膜炎」(22%)、黒目の周囲が赤くなる「毛様充血」(18%)の順。

 角膜の傷が炎症を起こす「角膜浸潤」(17%)、それがさらに進行した「角膜潰瘍」(5%)、まぶたの裏の結膜にできものができる「巨大乳頭結膜炎」(4%)の患者もいた。

 しかし、80%が購入時に眼科を受診しておらず、消毒やこすり洗いといった正しいケアをしていなかった人も36%に上った。

 今回の調査で確認された症例で、カラーコンタクトの素材が判明した127例のうち97例が酸素透過性の低いタイプ。約40年前にソフトコンタクトとして初めて承認されたもので、品質改良が進んだ現在では通常の視力補正用レンズにはほとんど使われていない。

 愛媛大眼科の大橋裕一教授は「カラーコンタクトレンズによる障害には、粗悪品でレンズそのものに問題がある場合と、取り扱いに問題がある場合とがある。コンタクトレンズは異物で、安易な使用は非常に危険。眼科医のアドバイスを受けながら正しく装用してほしい」と呼びかけている。(高梨ゆき子)

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