文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

すてきライフ

yomiDr.記事アーカイブ

成長した娘に「ありがとう」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 沖縄の離島を舞台に家族の絆を描いた映画で、母親役を演じました。娘を置いて家を出た母親が、複雑な思いを持つ難しい役でした。

 でも、私も子育てをしてきたので、最後の「ありがとう、お母さん」と言われるシーンでは、幼稚園の卒園、小学校の卒業と成長してきた子どもの姿と重なり、「大きくなってくれてありがとう」という気持ちを思い出しました。

 舞台となった南大東島には高校がなく、中学を出たら親元を離れ、沖縄本島の高校に進学するんです。映画の中の娘も、撮影の合間にひまわり畑を案内してくれた宿泊先のお嬢さんも、中学で自分の進路をしっかり決め、親はそれを見守る。大人だなと感心しました。一方、自分は、子離れも自立もできてないかなと考えてしまいました。

 でも、昨秋、一緒に住む母の卒寿のお祝い会をした時、幼稚園の先生をしていた母に、亡き祖母が手作り弁当を毎日届けていたという話を聞いたんです。栄養を取って元気に仕事をしてほしいという祖母の愛を知り、「ああ、子離れしてないと思われても、それは子供を愛することなんだ」と感じました。

 「じゃ、私もいいかな」と、娘が仕事でつらそうな時は、少し早く起きておにぎりを作ったりしています。娘は「あ、ありがと」と、ぶっきらぼうに言うだけで、感謝して受け取っているかは、ちょっと分からないんですけどね。(聞き手・本田麻由美、写真・片岡航希)

大竹(おおたけ)しのぶさん 女優。1957年生まれ。2011年に紫綬褒章受章。18日公開の映画「旅立ちの島唄~十五の春~」(ビターズ・エンド配給)に出演。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

すてきライフの一覧を見る

最新記事