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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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髪の悩み、男と女で処方違う

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 Golden week、天気に恵まれ自然を愉しまれた方も多いことと思います。この時期は色とりどりの野菜がスーパーの店先に並び、食卓が華やかになりますね。皆さんは緑、赤、青、黄とたくさんの野菜の中からどんな基準で選んでいますか? 昔から色の濃い食材を取ると髪が黒くなると言われています。

 わたしが女性外来で学んだことのひとつに、「髪」の問題があります。髪で悩んでいるのは男性に限ったことではないのです。髪の艶がなくなる、抜ける、薄くなる、などのトラブルは、女性にとっても大問題です。とくに女性の場合は、命に関わりますからね、だって「髪は女性の命」ですから。

私も抜け毛で苦労した

 わたし自身も脱毛に悩んだ時期がありました。当時のわたしの生活は、「医者の不養生」そのものでしたので、毎日の抜け毛がひどいことが気になっていました。

 そのときわたしは漢方医学にある「脱毛にはエネルギーを補うこと」という考え方で窮地を脱したのでした。このときの「エネルギー」というのは、栄養をたくさん取ることではありません。人生を生きていく上でのエネルギーを意味し、日頃の疲れや精神的な負担を軽くすることでエネルギーを補っていく必要があるということです。

がん化学療法の副作用である脱毛

 乳がんの治療を受けている方には髪のトラブルでお困りの方も多いと思います。がん化学療法に伴う脱毛は毛包の毛母細胞が障害されることにより起こると考えられています。精神的ストレスも重なり、脱毛はがん化学療法の副作用のなかで大きな問題となっています。

 漢方医学では、治療中は生きるためのエネルギーをがん治療に使ってしまうため髪にエネルギーを回すことができず、髪が薄くなると診断します。治療が終われば、髪にもエネルギーを使うことができますので、必ず髪は戻ってきます。

他人のオススメ、期待できない

 漢方医学では脱毛の悩みを抱えている人たちの治療方法が、男性と女性で異なります。「わたしは、この薬で髪が生えてきたから、あなたにもお勧めするわ」と友人・知人からもらった薬を飲んでも効果は期待できません。本来のかたちは、医師が丁寧に診察をして、ひとりひとりにあった治療法と漢方薬を選ぶことです。

 脱毛における漢方治療のポイントは、男性には元気をつけるように、女性には女らしさを取り戻すような処方を心がけることです。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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