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海原純子のハート通信

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「最初の印象」は強い

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 もし今あなたが学生で、異なる二つのレポートを同じ教授に提出しなければならないとしたら、エネルギーを注いで出来を良くするのを最初のレポートにしますか?それとも二番目のレポートにしますか?

 二つとも同じ位のエネルギーを注いで、同じ位のクオリティーにしようとなさいますか?学生のころどうだったでしょうか?今ならどうでしょうか?

 レポートを採点する側からの心理的傾向を見ると、できの良いレポートを先に読むか、できの悪いレポートを先に読むか、によって採点がかなり変わってしまうのだといいます。心理学者ダニエル・カーネマン博士によると「順番」は重要で、最初の印象は2番目よりはるかに強くなるといいます。どちらを先に読むかは「ハロー効果」により変わってきて、最初に出来の良いレポート読むと、次によくないレポートを見ても最初の印象に引きずられ、いい点数をつけてしまいそうです。

 「判断の独立性」というのは、かなり難しいものですね。レポートを提出する時、採点者がどちらを先に読んでくれるか分かりません。そして採点者がこうした判断バイアスについて気づき、エラーを修正して採点してくれればいいのですが、それが分からない以上、二つレポートを出す場合、質をある程度同じようにいい状態にしておかないと思わぬ低評価、などというリスクも起こりそうです。

 カーネマン博士によると、こうしたバイアスを排除するには、1人の意見ではなく、多数の意見を総合すると、かなり正確なものになるといます。判断者が別々の異なる視点と異なるバイアスを持っている場合は、こうした多数の意見を総合して判断するとバイアスは減少するはず。ただし、判断する人たちが全員同じようなバイアスを持っている場合には、リスクは減少しません。これがミスにつながるわけです。

 こうした「判断の独立性」は、会議にも応用できるということです。確かに1人が強く最初に発言すると、それに重みが加わったり、後から発言する人が影響を受けてしまったりするものです。多くの人の異なった意見をあらかじめ提出してもらっておけば、バイアス防止に役立つわけですね。

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海原純子ブログ_顔87

海原 純子(うみはら じゅんこ)

1976年東京慈恵会医科大学卒業。日本医科大学特任教授。医学博士。2008-2010年、ハーバード大学及びDana-Farber研究所・客員研究員。現在はハーバード大学ヘルスコミュニケーション研究室と連携をとりながら研究活動を行っている。

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1件 のコメント

最初の課題は確かに影響しますね

フーニ

北米のあるカレッジで教えていました。今は退職しています。最初の課題で良い点を取った生徒はこちらも良く覚えていますので、その後の課題の点が甘くなる...

北米のあるカレッジで教えていました。今は退職しています。

最初の課題で良い点を取った生徒はこちらも良く覚えていますので、その後の課題の点が甘くなる事がありますね。
本当は良くない事だと思いますが。。。
初めの課題が悪くても徐々に良くなってくる生徒も励ましの意味で最後に甘い点を付ける事があります。
成績はとても主観的です。 成績は気にしない方が良いです。 卒業してから成績を聞く会社なんてありません。

私は最初の授業で教授は生徒をフェイルしないと言います。生徒が勝手に落第するのです。最初の学期末で20パーセント位落ちます。

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