すてきライフ
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絵を描き 今の自分を知る
映画やドラマの仕事は、今でも分からないこと、初めて経験することばかり。いつも迷子になっている気分です。そういう日々の中で、自分を見つめ直すのに役立っているのが、半年前に始めた絵です。今は、休日になると絵を描いています。
雑誌の連載に自分の絵を添えようと考えたのがきっかけです。それで絵の具を買ってきました。小学生の頃以来でしたね。
何もないところに、何でも作り出せるのが絵です。奥が深い。主に、現実には存在しないもの、想像の世界を描いています。出来上がった絵を見ていると自分のことがよく分かる。「暗いなあ……」って思うことも多い。なので、黒はなるべく使わないようにしています。昔から絵が苦手な人間だと思い込んできましたから、こんなに熱中するなんて、自分でも意外です。
今回出演する映画は、大勢から命を狙われる殺人犯を無事に護送しようとする刑事役です。これまで自分が演じてきた役とは違って、激しい感情を隠さない人物。松嶋菜々子さんに対しても、無礼なせりふを言わなければならず、そのシーンの後、「言ってしまった……」なんて、ドキドキしました。
でも、そんなに不安になるのは、自分を守る気持ちがあるから。この役は、迷わず捨て身で演じなければいけないと心掛け、ぶつかっていきました。この経験で新しい自分が見つけられたらと思います。(聞き手・梅崎正直、写真・安川純)
永山絢斗(ながやま・けんと)さん 俳優。1989年生まれ。2010年の映画「ソフトボーイ」で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。映画「藁の楯」(ワーナー・ブラザース映画配給、26日から公開)に出演。
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