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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

専業主婦VS兼業主婦

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カメラが大好きで、全然撮らせてくれない娘

 先週末、友人の家族と近所にある大きな公園に行きました。暖かく春らしい日で、八重桜や花水木が満開でした。友人には6歳と3歳の女の子がいて、二人で公園を探検し、走り回っていました。娘は何度も転びながらかなりのスピードで歩き回っていて、お花見をしている人の邪魔にならないよう、追いかけ回すのが大変でした。動き回るようになってから頻繁に頭をぶつけたり舌を切ったりして心配もしますが、自分が小さい頃もけがが絶えなかったのでこんなものかと思うことにしています。

 週末に会った友人は、大学卒業後に就職し、結婚を機に退職して専業主婦になり、今は育児と家事に追われているようでした。私の身近には専業主婦が大勢います。

 ツイッターを見て知ったのですが、最近テレビで「専業主婦VS兼業主婦」というテーマを扱った番組が複数あったそうです。番組を見ていないので詳しい内容はわかりませんが、最近は専業主婦になりたい若い女性が増えているということです。

 私は専業主婦になりたいと思ったことが一度もないので理由が分からないのですが、様々な要因があるのでしょう。長引く不景気で自分が望むような職業に就くのが難しいためいっそ働きたくないと思ったから、または、一つ上の世代である我々30代は結婚しても仕事を続けている女性が多く、子供を産むのが遅れたため平均初産年齢が30歳を超え、高齢出産や高齢不妊のことが最近特に話題になっているので、専業主婦になって早く子供を産みたいと思った、という理由をすぐに思いつきました。しかし私は当事者でないので全く的外れかもしれません。

 「○○VS○○」とまたもや女性の分断を煽りたいのか、と少しうんざりしましたが、実際のところ女性は男性に比べて分断して対立するのが好きなのではないかと以前から思っています。結婚しているかどうか、子供がいるかどうか、働いているかどうか、そんなことで女性同士があちら側とこちら側に分かれて語ることが多いです。

人生は単純ではない

 しかし、一人一人の人生はそんなに単純なものではありませんよね。一口に兼業主婦と言っても、経済的に働かざるを得ない人もいれば、替えが利かないポストで働いている人もいて、働く事情は人それぞれです。子育てについても、子供とずっと一緒にいて育児をじっくり楽しめる人もいれば、イライラしてしまう人もいるし、子供を預けて働いてもメリハリを付けて人もいれば、愛着形成がうまくできない人もいるでしょう(もちろん、これもどちらかにはっきり分かれるということではありません)。

 母親だけでなく父親や他の養育者との関わりが影響する部分も大きいですし、各個人の性格もありますから、子供から見てどちらが幸せかなど単純な二元論で語れるはずがありません。それだけのスペックで他人を分かったような気になれる人の気が知れないというのが正直なところです。

 どうして二元論と分断は延々続くのだろうと思いますが、一般的に働き続けるしか選択肢がない男性と違って、いろんなパターンがあるからということもあるのでしょうか。結局は自分を肯定したいというのが根底にあるのだと思いますが、自分の選ばなかった道を否定しないと自己肯定ができないのだとしたら寂しいことだと思うのですけどね・・・。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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14件 のコメント

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不平等が原因

莓大福

専業VS兼業 こうなってしまう一員は社会の不平等感からだと思います。配偶者控除や年金、今の日本は財政難なんですから、廃止すべきです。専業兼業どち...

専業VS兼業 こうなってしまう一員は社会の不平等感からだと思います。配偶者控除や年金、今の日本は財政難なんですから、廃止すべきです。専業兼業どちらが大変とか楽だとか比べられるものではないし各家庭で違うのに片方だけ国が支援しているのはおかしいです。おまけにその控除の費用の元は労働者の納めている税金です。税金を使うなら子供や教育、介護に回してほしいです。専業主婦をしたい人は旦那さんが、一律みな同額奥様の分も税金年金納めるべきです。
お金に余裕の無い国なんです。納税は義務です。どんな女性にも平等な国になってほしいです。

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いろいろ

ふる

私たち夫婦は共働きです。旦那は7時前、私は7時10分に家を出て、帰宅するのは体大夜の7時になります。帰ってきてから夕飯作り、旦那が返ってくるのは...

私たち夫婦は共働きです。
旦那は7時前、私は7時10分に家を出て、帰宅するのは体大夜の7時になります。
帰ってきてから夕飯作り、旦那が返ってくるのは8時半くらい。
私は帰ってきてから立ちっぱなしで夕飯を作っているのに、帰ってきた旦那は
ソファーに座りくつろいでいる様子。


共働きなので、掃除は毎日しないとしても、食事作りは毎日ですし
私だけ働いている・・その気持ちが嫌なので、「箸だして、取り皿だして」
それでも行動に移さないのをみて仕舞いには喧嘩っぽくなり
「おればメインで働いて家のローンを払ってるんだ」と言われ。
私も働いていますが、違うのは家のローンを払っているかいないかの違いだけ。
それでそんなに偉くなれるのか・・・と本当に残念な気持ちです。
そんなに大変ならフルタイムじゃないくて、どっか近くのパートにすれば
自分の時間も持てていいんじゃないか?
子供ができたら家にいて家の事をやってほしい。

私はそんな気はまっさらないので、バリバリに働いていますが、
女性が働きながら家の事もするって本当に大変だと思います。
食事に、週末は洗濯、掃除。平日出来ないことを週末していますが
共働き、結婚ってなんだろう?って思うときもしばしばです。

育休で子育てを楽しむのもいいです。
でも、仕事復帰をすぐにでもしたい女性に対して、旦那は何をしているのか?
お休みを取るのもいいですが、残業を切り上げて早めに帰宅し、
奥様の負担を少しでも減らしていくのも女性は嬉しいのと思います。
帰ってきて何をしたら負担軽減になるのかを知るのもいいと思います。

家にいながら色々しているのも、外で働いているのも仕事です。外で働いているだけが仕事ではないと男性には知っていてほしいです。

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専業でも兼業でも選択は自由だけど・・・

ごまごま

専業でも兼業でも選択は自由でよい、と思います。専業主婦を否定はしません。ただ企業や国が「専業主婦」を守りすぎだと思います。昔は女性が働く仕事とい...

専業でも兼業でも選択は自由でよい、と思います。専業主婦を否定はしません。ただ企業や国が「専業主婦」を守りすぎだと思います。

昔は女性が働く仕事といえば、パートか生命保険や化粧品の訪問販売員、そして教師に代表される公務員。と、かなり限定された社会。世の中もサラリーマン政策を推進してましたから、女性が家庭にはいって家庭を守るべき、みたいな男性の考えがほどんどだったし、その延長で「企業が専業主婦に対する扶養費」を払い、国は年末控除で「配偶者控除」をしてあげて、あげくに年金分も負担してあげています。でも今は違います。女性も同じ教育をうけ、就職し働ける場がひろがっています。

これって働く女性からすれば不公平感がぬぐえません。男性が「家にいてほしいから」女性が「子供のそばに四六時中いたい」もっと言えば「働かないで楽していたい」のは自由ですが、それをなぜ、国や企業が大金はたいて助けるのですか?

税金や企業は、働いている女性が子供を預け育てるるのに出費がいらないような子育て支援費を、はたまた働きたいけど病気をしている、介護をしなくてはいけない。など、もっと弱者救済に回してほしいものです。

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