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医療相談室

頸椎症

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「運動ニューロン疾患」 積極的な治療はしなくて良いのか

 私は自宅近くの整形外科で「頸椎(けいつい)症」と診断を受け、1年ほど首の牽引(けんいん)などリハビリを行っていたのですが、改善しないため、大きな病院で検査入院したところ、「運動ニューロン疾患」と言われました。症状は特に左足親指が動かず、歩行困難でよく転倒するので、つえを使っています。特に薬や検査はなく、月1回のリハビリを受けています。これは、どんな病気なのでしょうか。薬などの治療は受けないで良いのでしょうか。(63歳男性)

ALSなどの可能性 神経内科専門医の診察を

四宮謙一 横浜市立みなと赤十字病院院長(横浜市中区)

 「運動ニューロン疾患」は、大脳皮質から脳幹や脊髄内の運動神経が選択的に障害される神経の変性疾患です。脳と脊髄の両方の運動神経が障害されるものを「筋委縮性側索硬化症(ALS)」、脊髄の運動神経のみが障害される疾患を「脊髄性進行性筋萎縮症」と大きく分類されます。ご質問の方は、年齢・性から考えるとALSの可能性が否定できません。神経内科専門医による正確な診断の結果がALSであれば、以下のような経過をたどる可能性があります。

 典型的なALSは一肢の遠位の筋肉の委縮と筋力低下から始まることが多く、次第に四肢に麻痺が進行します。さらに進行すると嚥下(えんげ)障害や呼吸筋麻痺が進行し、数年で呼吸不全に至ります。神経細胞障害の機序が未だ解明されていないために、治療法は確立されていません。薬剤治療(リルゾール)も行われていますが、わずかな進行遅延効果しかないようです。

 運動障害による関節拘縮予防のリハビリテーションは有効です。嚥下障害のための経管栄養、呼吸障害のための人工呼吸管理などが行われます。以上、ALSであれば現在のところ有効な治療法は未だ開発されていない重篤な疾患です。

 ただし、亜型や類似疾患もあり、神経内科専門医による正確な診断と詳細な病態観察により初めて確定診断がなされるものであることを最後に強調しておきます。(日本専門医制評価・認定機構協力)

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