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障害者福祉 法改正で拡充

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 今月から、障害者福祉の法律が変わったようだけど、福祉サービスの中身が変わったの?

130種の難病患者も対象に

作図・デザイン課 斎藤仁

 障害がある人への福祉サービスを定めた「障害者自立支援法」が改正され、「障害者総合支援法」と名前を変えて今月から一部施行された。大きく変わったのは、障害者福祉の対象に難病患者を加えたことだ。

 難病は、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症など、治療法が確立していない疾患のこと。病状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、症状が重い時は自立した生活を続けることが難しくなる。

 難病患者にはこれまで、ホームヘルパーを派遣する難病患者等居宅生活支援事業があった。ただ、実施するかは市町村に任され、実施率は4割程度。住む場所によって利用できない人が多かった。

 今回の制度変更で、政府が指定する130疾患に該当する難病患者は、身体・知的・精神障害者らと同じように、各種の支援サービスを受けられるようになった。ホームヘルパーのほか、短期入所、外出の支援なども利用できる。病状が悪化してやむなく勤め先を辞めた後、再就職できずに困窮する難病患者も多かったが、同法で、就労の支援も受けられる。

 サービスを受ける際は、医師の診断書などを持参し、市町村の福祉担当課で申請する。「非該当」を含め7段階ある障害程度区分のどれに当てはまるか認定を受け、近くの福祉事業者と契約すればサービスを利用できる。市町村にとっては、難病の知識を持つ職員、ヘルパーなどの育成が今後の課題となる。

 このほか、視覚・聴覚障害者に対するコミュニケーションの支援も強化された。視覚と聴覚に障害がある盲ろう者に対し、指でたたいて伝える指点字を行う通訳者や、手話通訳者、要約筆記者などの育成が、都道府県の必須事業になった。

 法律が全面的に施行される来年4月からは、入浴や食事、外出など様々な支援を長時間かけて行う重度訪問介護のサービスを、知的・精神障害者も利用できるようになる。

 今は軽度障害の人を対象としているグループホームも、障害の重い人の受け入れが可能になる。重度障害者が増えるなか、生活を支えるサービスの拡充が期待される。(梅崎正直)

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