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医療部発

コラム

フランス終末期医療(4)充実したボランティア組織

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 これもわずかな見聞による印象ですが、終末期ケアに携わるボランティアも、フランスはなかなか充実しているように感じました。

 フランス緩和ケア・看取り協会(SFAP)は、緩和ケアの普及啓発を目的とする国内最大の組織で、1990年に設立されました。会長で医師のビンセント・モレルさんによると、この協会には5000~8000人のボランティアと、5000人の医療従事者かならなる会員がいるそうです。パリの事務局には30人のスタッフが勤務し、会長には秘書や会計士までついているそうです。

 モレルさんは「フランス人は緩和医療をよく知っていますが、まだ終末期患者だけのものと思って怖がる人も多い。よく理解してもらう必要があります。国全体として緩和ケアの体制は整備されましたが、まだアクセスが難しい地域もあります」と言います。

 フランスの様々な協会組織は、国が定めたグレードに分けられているそうですが、この協会は最もトップレベルに権威がある協会だそうで、政治への影響力も大きいようです。「すべての緩和ケア関連の法案は、この協会と厚労省で原案を作っています」とモレルさんは胸を張ります。行政にかかわる一方で、ボランティアは在宅や病院、老人ホームなどの現場に入り、介護やヘルパー、傾聴などを通して患者や家族を支えています。

終末期ケア協会事務局長のシモーヌさん

 国内には様々な終末期ボランティア組織があるそうですが、もうひとつ、終末期ケア協会という団体の事務所にもおじゃましました。こちらは純粋なボランティアだけの組織ですが、全国に71支部あり、1850人の会員がいるそうです。事務局長のシモーヌさんは「ボランティアは患者をみとるのではなく、一緒に生きていくという立場で心のケアに当たります。患者にとって家族は一番近い存在ですが、家族には話しづらく、ボランティアなら話せることもあるのです」と話していました。

 ボランティアは誰でも応募できますが、すぐには活動できません。応募者は2度の面接でやる気や人柄を見られた後、3日間の机上学習、そして経験豊富なボランティアに同行しての実践を経て、最終的に採用が決まります。晴れてボランティアになると、最低でも週4時間の活動が義務づけられます。応募者は20歳代から70歳代までと幅広く、女性が多いそうです。パリには250人の会員がいて、医療スタッフに同行して毎月5000人ぐらいの終末期の患者のケアにあたっているそうです。

藤田勝(ふじた・まさる)
2008年から医療部。終末期医療、大腸がん、皮膚疾患、耳・鼻の病気などを取材。アホウドリとアムールトラ好き。

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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