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(5)薬よりも、まず生活の見直しを

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 健康とは何なのか? それは、ストレスがないことでもないし、ストレスを感じないことでもありません。健康とは、ストレスと回復が適度なバランスを保ちながらずーっと続いていくことです。それが時間軸にそって規則的なサインカーブを描いてゆくことです。睡眠による回復と日中の疲労の量がバランスが取れていると、きれいなサインカーブを描いてゆきます。このサインカーブを1年365日、人生70年80年ずっと繰り返して描いてゆくのが人生です。理想的なパターンは週50時間睡眠、1日7時間、規則的に睡眠が取れるなら、めったにうつになるようなことはないです。ところが、よくあるのは、寝ても疲れが取り切れないうちに朝が来て、仕事して寝るんだけど疲れが取り切れないうちにまた朝が来て……ということを繰り返して、睡眠が総体的に少ない、だからサインカーブがだんだん下がってくる、こういう方が多いのではないかと思います。つまり、睡眠が平均6時間を切るような生活をしていると、だんだん疲れがたまっていってしまう。それを週末にドカンと眠って補おうとするわけですが、寝だめといっても限度がある。週末だけで挽回するのは結構きつい。できれば、3日で疲労回復の収支バランスを合わせる。これはうまいやり方だと思います。

 あと、1週間の中で最も大変な日に体調のピークを持ってくることが大切だと思います。私は、今週は水木が大変だったら、水木にベストの体調を作ると考えて、体調のコンディショニングをしました。そのためにあえて調子を落とす日を作ります。例えば大変な仕事の前の日など、少し早めに帰って十分に眠る。プロの仕事人は体調管理も仕事のうちです。

 睡眠の基本的な目標は週50時間。50歳以上は少し短くて結構です。週の中盤に早めに寝る日を作る。平日休日の起床時間差は2時間以内で。週3日以上の休肝日、昼寝は15時前の20~30分にとどめる。適度に体を動かし、ウォーキングする。足が動けば体が動く。体が動けば心も動く。頭から動かすのでなく、足からの方がずっといいです。そして3食なるべく規則正しく食べる。

 最後に、薬よりもヘルシーな生活を送ることを考えてください。皆さん大なり小なり、私も含めて悩める健康人ですが、悩める健康人が自分の健康レベルをもっとよくするためには、薬は役に立ちません。薬は、病気を治す時に意味があります。しかし、病気でもない、悩める健康人が、抗うつ薬を飲んでも、意味はありません。抗うつ薬は、重症例を除けばその効果はプラセボと大差ない、というデータが2008年と2010年に出ました。非常にショッキングなデータでした。抗うつ薬を飲むことに意味があるのは、重症のうつ病患者だけです。軽症のうつ病の方、まして悩める健康人に、抗うつ薬を飲むことに積極的な意味はありません。抗うつ薬は、うどん粉を固めたようなプラセボと効果は同じだというデータが出ているのです。

 短時間睡眠ができる仕事人だ、という間違った幻想にとらわれないでください。毎日、豪快に酒を飲めるのが、できる仕事人、とは限りません。うつだな、とか、最近、不安、発作が増えてきた、電車でパニックになることが増えてきた、そんなことがあれば、自分の生活パターンを見直してみてください。寝不足になっていませんか? 起床時刻が週末に大きくずれていませんか? いつも日本時間で生活を。ヘルシーな生活を送っていただくことが、体にはもちろん、心の健康にとって一番いいことです。薬を使うことより、まずはヘルシーな生活を送ってください。

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