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(3)24時間のリズムが大切

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 基本的に人間の体は24時間リズムで出来上がっています。会社や人間関係、忙しい時間に追われ、ストレスに満ちていて、生まれてから死ぬまでストレスはなくならない。ストレスが多すぎると耐えられない、かといってストレスのない生活を夢見てはいけないと思います。私たちはストレスへの対応力を持っています。それは、自律神経とかホルモンとか免疫系と呼ばれているものです。こういうストレス対応力を決定する人体のシステムは、すべて起床就床時刻と同期しています。

 たとえば自律神経の交感神経、副交感神経が典型的ですが、目が覚めているときは交感神経が優位、寝ている時は副交感神経が優位です。これは逆に言えば、睡眠時間を削れば、それだけ長い時間、交感神経ばかりに負担をかけることになります。睡眠時間が短い方は、交感神経──これは、血圧を上げるとか、心臓を鼓動させるとか、呼吸をしっかりする、という働きをします──、睡眠不足の人は、心臓にも負担が来るし、不整脈や心臓疾患になりやすい。さらには、交感神経が優位な人は血糖値が上がります。睡眠不足の人は長いこと血糖値が上がる体制になっているので、糖尿病になりやすい。糖尿病を治そうとしたら、睡眠を十分に取らないといけない。交感神経、副交感神経とシンクロして、ホルモンが動き、免疫系も動きます。例えば白血球は、目が覚めている間は、顆粒球といって大きなばい菌をやっつけるものが増える、眠っている間はリンパ球という小さなばい菌をやっつけるものが増える。白血球のレベルでも、寝る、起きるのリズムにシンクロして動くんですね。

 ですから、ストレス対応に関する人間の体の仕組みは、全部24時間リズムで出来上がっていて、しかも寝る、起きるのリズムでサインカーブを描いています。逆に言えば睡眠が足りなくなったり、寝る、起きるのリズムが悪くなると、すぐに失調をきたす、ということです。

 各国の1日の睡眠時間で、OECDのデータを見ると、フランスがずば抜けて長く、アメリカも非常に長いです。最下位争いをしているのは日本と韓国。フランスは長すぎますが、日本と韓国は短すぎます。更に言えば、悲しいことに、最近ますます減ってきている。有業者の睡眠時間の推移を見ると、1976年から2006年までのデータで、男女ともどんどん短くなっています。この30年でコンビニエンスストアが全国津々浦々に普及して24時間社会になった、ということもあります。

 眠らないと死にやすくなる、というデータがあります。アメリカがん協会のデータですが、睡眠時間と6年後の死亡率を見たグラフです。睡眠時間が7時間前後が一番死亡の危険率が低く、それより短くても、長くても、死亡率は上がっています。特に6時間を切ると死亡率がどんどん上がっている。睡眠は長ければいいというものでもなく、7時間前後が一番過不足のない睡眠で、短くすれば絶対に死亡率は上がります。短時間睡眠は死にやすくなる、ということです。

 睡眠時間とメタボの関係を示したグラフがあります。7~8時間寝ている人はメタボになりにくく、それより長くても短くても、メタボになりやすくなります。つまり、短時間睡眠だと太りやすく、メタボになりやすい。これには生理学的にもはっきりした理由があって、眠っている間には食欲を下げるホルモンが出ている、目が覚めている間には食欲を上げるホルモンが出る。人間はただ起きているだけで食べてしまうので、太ってしまうのです。

 睡眠時間とうつの程度を調べると、7~8時間が最もうつの程度が低い。6時間を切ると、どんどんうつの程度が高くなっています。睡眠を短くすればするほど、ますますうつになる、ということです。

 ということで、よく眠れば、スリムになり、美しく、うつになりにくく、早死にしにくくなります。いいことばかりです。眠らないと、太り、うつになり、早死にします。いいことが何もない。

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