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いきいき快適生活

介護・シニア

[読み得 医療&介護]口腔ケア 基本は歯磨き

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汚れやすい場所 家族がチェック

高齢者の自宅を訪問し、スポンジブラシで口の粘膜をぬぐう歯科衛生士の篠原弓月さん(東京都新宿区で)

 年を取ると、唾液が減少したり、歯磨きが上手にできなくなったりして、口の中が汚れやすい。介護が必要な場合はなおさらだ。口の中を清潔に保ち、おいしく食べ続けるにはどうしたらいいのか。「口腔(こうくう)ケア」のポイントを探った。

衰える自浄作用

 「乾いた口に痛くないように歯ブラシは必ずぬらし、鉛筆を持つように握って」

 東京都多摩市の南野デイサービスセンター。定期的に利用者の口腔ケアを担当する歯科衛生士の根本由美子さんがアドバイスする。

 ケアを受ける女性(81)は「口の中にカスがたまりやすいが、さっぱりして気持ちがいい」。ほかの利用者からも「食事がおいしく感じられる」「虫歯ができなくなった」と好評だ。「歯の多い高齢者が増えているのに、口の中への関心は薄く、ケアが後回しになりがち」と根本さんは言う。

 口腔ケアの基本は、歯ブラシを使った歯磨きだ。高齢者は口のまひや筋力の低下、唾液の減少のために口内の自浄作用が働かず、汚れやすい。日本歯科大学の菊谷武教授は「若い時よりしっかり磨く必要があるのに、磨く能力は衰えている。それを自覚してほしい」と強調する。

 高齢者には入れ歯をしている人も多い。洗浄剤につけるだけの人もいるが、歯ブラシや専用ブラシでこすらなければ汚れは取れないので、注意が必要だ。

口内の細菌減らす

 体が弱った高齢者の場合は、細菌を含んだ唾液などが誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」で、肺炎を起こす危険が高い。リスクを減らすには、口内の細菌を減らすことが重要だ。本人が「磨いている」と言っても、磨けているとは限らない。家族が、口の中の汚れやすい場所をチェックし、代わって磨くとよい。

 磨く際は、細菌を含んだ水分を誤嚥しないよう、高齢者にあごを引いた姿勢をしてもらう。菊谷教授は「磨いた後は、しっかりと口をゆすぎ、汚れた水分を、確実に口の外にはき出すことが最も重要」と言う。うまくゆすげない人の場合は、指にガーゼを巻き付けて、水分をふき取るように口内をぬぐう。

 虫歯や、入れ歯が合わないまま放置されている例も珍しくない。要介護度が重く、通院が難しければ、歯科医師に自宅に来てもらう方法もある。洋歯科クリニック(東京)の草川洋院長は「本人が口の中の異変を訴えるのは難しい。家族が気にして、受診につなげてほしい」と語る。

舌の表面も清潔に

 認知症がある人の場合は、口を開けてくれずに家族が困ることが多い。「地域食支援グループ ハッピーリーブス」(東京)の代表で、歯科衛生士の篠原弓月さんは「ケアが『気持ちがいいもの』と感じてもらえるように、少しずつ慣れてもらうのがポイント」と語る。

 いきなり、歯ブラシを口に入れようとするのは禁物。恐怖心を抱いているかもしれない。篠原さんは、優しく声をかけながら、肩や首、頬、唇へと徐々に口に近づくように手を触れる。リラックスしてもらい、口の中を触られることに慣れてもらう。1回で全部磨こうとはせず、根気よく続ける。

 胃に穴をあけて栄養を注入する「胃ろう」のため、口から食べていない場合も、口の中は汚れる。歯磨きだけではなく、舌の表面と、唇や頬と歯ぐきの間の粘膜部分の汚れを、スポンジブラシを使って優しくこすり落とすのが大切だ。篠原さんは「粘膜への刺激が唾液の量を増やし、脳への刺激にもなる。再び口から食べるための準備にもなる」と強調する。

 歯科衛生士による訪問口腔ケアは、介護保険サービスの一つ。ケアマネジャーや地元の歯科医師会に相談するといい。「亡くなった時、口の中が汚れていることを悔やむ家族もいる。適切なケアの仕方のアドバイスを受け、毎日、実践してほしい」と篠原さんは話す。(野口博文、写真も)

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