楽ラク介護術
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(50)「その人らしく」を手助け
「こんなふうに家で過ごせるとは思わなかった」「看護師さんが自宅でもこんなに看てくれるなんて」――。こんな感想を伺うことがあります。まだまだ在宅ケアでできることが知られていないからでしょう。
年をとったり、病気が進行したりして、自分でできていたことが少しずつできなくなる。あるいは、元気だった人が急に病気になって、様々な場面で援助が必要になる。「人の手を借りないといけないのがつらい」など、戸惑いを感じるのが当然だと思います。
病院にずっと入院することもできません。では、どこで過ごしたいと思いますか。これまでと違う状況になったから、自宅で生活することはできない、と考えてしまう方も少なくないようです。でも、結論を出す前に、「ぜひ自宅で」と本人や家族が思うのなら、その気持ちを病院の看護師やソーシャルワーカーに伝えてください。以前から在宅サービスを利用している場合は、ケアマネジャーや訪問看護師に伝えてください。それが第一歩です。
死が避けられない状況になったときも、往診や訪問看護などを利用して医療を受けながら、最期まで自宅で過ごす方法があります。介護保険制度などを使い、本人に合った福祉用具を利用できるのも自宅ならでは。様々な事情で、必ずしも希望通りにいかないこともあると思いますが、最初から無理と考えずに、まずは希望を伝えてください。
このコラムでは、自宅で過ごすための方法を紹介してきました。少しでもヒントになればと思います。私たち訪問看護師は住みなれた場所で、あるいは場所が変わっても、その人らしく過ごせるように支援をしていきます。(竹森志穂、「訪問看護ステーションしろかね」所長)
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