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(27)今後の制度改正

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  年金制度では今後、どのような改正が予定されていますか。

10月から支給額引き下げ

 年金制度は、少子高齢化の進展などに対応して見直しを重ねてきました。新年度以降も様々な改正が行われます。

 まず、今年10月から3回に分けて年金額が引き下げられます。現在の年金額は、過去の物価下落時に減額改定を見送ったため、本来の水準より2・5%高くなっています。この「払い過ぎ」を解消するため、10月に1%減額し、さらに2014年4月に1%、15年4月に0・5%引き下げます。この減額は、物価の変動に応じた毎年の年金額改定とは別に実施されます。

 受給者にはつらい話ですが、不況下で現役世代の賃金は下がる一方。しかも、年金保険料は17年度まで毎年アップします。「払い過ぎ」の給付額は年間1兆円規模。現役世代とのバランスを取り、年金財政を安定させるために、減額は欠かせない措置です。

 年金受給に必要な加入期間の短縮も行われます。受給資格期間と言い、現在の25年を10年に。実施は15年10月の予定です。保険料の納付実績をできるだけ受給につなげるのが狙い。ただ、10年で納付をやめ、低年金になる人が増える恐れもあります。

 年金制度とは別の仕組みですが、同じく15年10月から低所得の年金受給者向けの「年金生活者支援給付金」制度が始まります。家族全員が住民税非課税で、年間所得77万円以下の人が対象です。給付額は保険料の納付期間で決まり、40年納付なら月5000円。免除期間がある人には最大月1万666円を上乗せします。対象外になる人の一部にも補足的な給付をします。

 受給資格期間の短縮と給付金創設は消費税率引き上げで財源を確保します。引き上げできなければ実現しません。

 また、厚生年金の加入基準を緩和し、パートなどの加入を増やします。非正規労働者の年金充実が目的で、16年10月に実施。今の基準は労働時間がおおむね「週30時間以上」ですが、「週20時間以上」とします。ただし、勤務期間などの条件がつきます。

 今後の課題として、支給開始年齢の引き上げや高所得者の年金減額などが挙がっています。安定した制度を次世代に引き継ぐため、真剣に検討する必要があります。(林真奈美)

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