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[中田喜子さん]DIY 手作りの充実感

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「ドライバーなどの工具も大好き。手にしているだけでワクワクしてくる」(東京都目黒区で)=池谷美帆撮影

 「そんなに意外ですか?」。取材場所に持ってきてくれた愛用の電動ドライバーを片手に、優しくほほ笑んだ。「趣味はDIY」。そう話すと、驚かれることが多いという。

 DIYとは、「ドゥ・イット・ユアセルフ(自分のことは自分で)」の略語。日曜大工など、身の回りのものを手作りすることだ。

 確かに、電動工具を持つ姿は、テレビドラマなどで演じている清楚(せいそ)な印象とはすぐに結び付かない。しかし、DIYの腕前は折り紙付き。「女優・中田喜子のDIY 手作り模様替え工房」(主婦の友社)というハウツー本を昨夏に発行したほどなのだ。

 最近も、自宅の居間で使っていた、木製イスの座面を一人で張り替えた。ドライバーで、イスの木枠から座面を取り外し、座面を覆っていた布をはがす。そして、布の模様の位置などを確認しながら、新しい布に張り替えていく。「何もかも忘れて夢中になれるんです。私にとって気分転換というか、とても大切なリフレッシュの時間なんです」

 DIYに関心を持ったのは、20代の時、仕事で訪れたドイツでのこと。同世代の夫婦が、古い家を購入し、自分たちで壁紙を張り替え、家具やキッチンなども改修しながら、金をかけず楽しそうに暮らしていた。「プロに任せるのではなく、素人にもできるんだとびっくりしました。元々、家具やカーテンなどインテリアが大好き。自分たちで自由に住まいの空間を一つひとつ作り上げていくことに、とても憧れました」

 映画や舞台などの仕事に追われる日々が続いたが、ドイツ訪問以来、仕事の合間を見つけて、実家の居間で壁紙の張り替えなどに挑戦するようになった。劇場の楽屋の壁をペンキで塗り替えたこともある。

 独学で失敗することもあったが、試行錯誤を重ねるうちに、すっかりDIYに夢中になった。「お金を出せば、何でも手に入る時代かもしれません。でも、自分で作り上げる充実感は、お金では買えませんから」

 年齢を重ねるに従って、DIYの楽しみ方も変わってきた。以前は、とにかく早く仕上げたいと思っていた。ところが最近は、美しく仕上げたいという気持ちが強くなり、無理をせずに、ゆっくりと作業を楽しむようになった。

 「古くなったイスなどの家具を、自分で手直しをして大切に使っていく。愛着のあるものに囲まれていると、優しい気持ちになれるし、表情も明るくなるような気がします」

 ベテラン女優としての実績を重ねながら、快活で若々しくいられるのは、自分一人の世界に集中できるDIYという趣味が一役買っているのだろう。(竹之内知宣)

 なかだ・よしこ 女優。1953年、東京生まれ。18歳で女優としてデビュー。テレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」など、テレビや映画、舞台などで活躍。舞台「御いのち」で第19回菊田一夫演劇賞(1993年度)を受賞した。

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