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職場トラブル 国の相談窓口

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 職場でのトラブルの解決を手助けしてくれる制度があると聞きました。内容と利用法を教えてください。

無料で迅速 解決手助け

作図・デザイン課 遠藤牧子

 「突然、解雇された」「一方的に給与を下げられた」。景気低迷などに伴って、近年、雇用を巡るトラブルが多発している。しかし、労働者が個人で会社と争うのは大変だ。裁判による解決には時間も費用もかかる。頼みの労働組合も、非正規労働者などは加入できない場合が多く、後ろ盾として十分機能していない。

 そこで、裁判によらず、無料で迅速にトラブルを解決する仕組みとして、2001年に国が「個別労働紛争解決制度」をスタートさせた。

 制度は3段階からなる。

 窓口となるのは、労働基準監督署や都道府県労働局に設けられた「総合労働相談コーナー」。労働問題に関するあらゆる質問に応じてくれる“駆け込み寺”といえる。全国に385か所あり、社会保険労務士など専門の相談員が電話か面談で対応。法律や制度について情報提供し、自主的な解決をサポートする。職場のトラブルに悩んだら、まずここに相談するといい。

 相談コーナーで解決しない場合は、都道府県労働局長による「助言・指導」を求めることができる。判例などを示して会社や労働者に解決策をアドバイスするもので、通常は1か月程度で終了する。

 「助言・指導」で解決が困難な場合は、紛争調整委員会による「あっせん」で決着を図る。相談コーナーから直接こちらに進んでもいい。委員会は弁護士や学者らで構成。会社と労働者の双方の主張を聞き、解決金支払いなどのあっせん案を示す。通常2か月程度で終了。嫌がらせでうつ状態になり退職した労働者に、会社が解決金50万円を支払った例などがある。

 相談件数は年々増え、11年度は、解雇やいじめなど職場のトラブルに関するものが過去最高の25万件に上った。ここ数年は「いじめ・嫌がらせ」の増加が目立つ。助言・指導の申請は約9500件、あっせんは約6500件だった。

 助言・指導やあっせんには強制力がなく、確実に解決できるわけではない。あっせんでの合意成立は4割程度だ。それでも働く側にとっては貴重な救済手段。利用の際は、事前に相手とのやり取りを記録し、どんな決着を望むか明確にしておくと、迅速な解決につながる。(大津和夫)

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