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(26)海外に赴任の間は

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  転勤で海外に赴任することになりました。年金はどうなりますか。

協定締結 二重払い防止

 海外で勤務する日本の会社員が増えました。公的年金は、赴任先の国の制度に加入するのが原則です。しかし、日本と協定を結んだ国については、5年以内の滞在であれば赴任先での加入を免除され、引き続き日本の制度に加入すればいい決まりです。

 この協定は「社会保障協定」といって、これまでにドイツやイギリス、韓国など16か国と締結し、うち14か国間で発効。さらに、中国など9か国との間で、締結に向けた交渉や予備協議が進んでいます。

 協定ができる前は、相手国と日本の両方の制度に加入するケースが目立ちました。多くの国では日本と同様に、一定以上の加入期間を年金受給の要件としていて、短期間の滞在では受給できません。そこで、将来の年金が減らないよう、日本の制度に二重加入するのです。

 しかし、保険料の二重払いを強いられるうえ、多くの場合に相手国で払った分は掛け捨てになります。こうした問題を解消するのが、社会保障協定です。

 協定が発効すると、5年以内の派遣であれば、相手国の制度への加入は免除されます。日本の制度だけに加入すればいいのです。免除を受けるには、勤務先の企業が日本の年金事務所に届け出て、「適用証明書」の交付を受ける必要があります。5年を超える派遣の場合は、相手国の制度に加入しますが、希望すれば日本の制度にも加入できます。

 また、協定が発効した国(イギリス、韓国を除く)との間では、双方の加入期間を通算できます。それぞれの国で、受給に必要な加入期間(受給資格期間)を満たしているかどうかは、この通算期間で判断されます。例えば、米国の受給資格期間は10年ですが、米国滞在が6年でも、日本での加入期間と足して10年以上になれば、米国の年金を受け取れるのです。

 従って、5年超の派遣で相手国の制度だけに加入した場合でも、通算して受給期間を満たせば、その期間分の年金は確保されます。保険料の掛け捨てにはなりません。

 年金を受け取る際には、通算制度のある国であれば、日本の年金事務所を通じて手続きできます。(林真奈美)

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