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医療部発

医療・健康・介護のコラム

100歳女性 3年の経管栄養から回復

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100歳で再び口から食べられるようになったAさん

 超高齢者が口から食べられなくなって長い時間がたてば、よもや元通りに食べられるとは想像しにくいのですが、人の生命力は底知れません。福岡県飯塚市の女性Aさんは、この3月の誕生日で102歳。驚くことに97歳から3年間も、鼻から胃に通した管だけですべての栄養をとっていたのに、100歳でまた口から食べられるようになり、今では毎日3食を完食する回復ぶりだそうです。

 Aさんが暮らすのは、同市内にある医療法人康和会の介護老人保健施設「和泉の澤」。同施設によると、Aさんは97歳の時、腰痛悪化や発熱などで全身の健康状態が悪くなり、食欲が低下、口から食べ物を受け付けなくなりました。職員の誰もが「もう口から食べるのは無理だろうな」と思ったそうです。コミュニケーション能力も下がり、職員の問いかけにうなずく程度でした。

 ところが100歳を迎えた2011年の夏ごろから、様子に変化が表れてきます。鼻に入れた管をいやがって自分ではずしたり、夜間に独り言を言ったりすることが増えました。職員は「管が気持ち悪いのかな?」「自分で食べたいのかな?」と不思議に思いました。そして8月の夕涼み会の時、他の入所者がアイスクリームを食べているのをじっと見ているので、介護士がAさんに「食べたいの?」と尋ねると、うなずいたのです。

 これを機に、施設ではAさんの経口摂取の可能性を検討しました。のみこむ機能の検査結果は十分な可能性をうかがわせました。とはいえ、いきなり普通の食事に戻すのは危険です。医師や歯科医師、看護師、管理栄養士、作業療法士、歯科衛生士など多職種と連携して口腔ケアを徹底しながら、ゼリーから始め、ミキサー食、おかゆ、常食と、1年近くかけて普通の食事に戻していきました。それに伴ってコミュニケーション能力も回復し、職員との会話もはずむようになりました。

 Aさんのような例は極めてまれだとは思いますが、経管栄養になっても十分なケアやリハビリを行い、本人の気持ちに気づいてあげられれば、全国には同じような可能性を秘めた高齢者がまだまだいるのではないでしょうか。

藤田 勝(ふじた まさる)
2008年から医療情報部。終末期医療、大腸がん、皮膚疾患、耳・鼻の病気などを取材。アホウドリとアムールトラ好き。


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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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4件 のコメント

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全く同感!

冷静たらん

「批判されるでしょうが・・・」の石ころさんに全く同感です。マスコミ、特に新聞ではこういう冷静な意見をもっと取り上げてほしいです。人が生きて在る=...

「批判されるでしょうが・・・」の石ころさんに全く同感です。

マスコミ、特に新聞ではこういう冷静な意見をもっと取り上げてほしいです。

人が生きて在る=死んでいない状態 

とは、誰も思っていないと思います。

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介護格差

優美

 介護状態になった時、周りにどんな人がいるかで回復状況は変わってきます。経済力があるか介護力があるか、適切な判断力があるか。 胃ろうが最近問題に...

 介護状態になった時、周りにどんな人がいるかで回復状況は変わってきます。経済力があるか介護力があるか、適切な判断力があるか。
 胃ろうが最近問題になっていますが、悲惨な状況になるのは、十分な介護が出来ない場合です(まあ、ほとんどの場合、十分な介護ができてないから、問題になっているのでしょうが・・・)。
 私の母は5年間胃ろうでしたが、終始穏やかな良い表情をしていました。介護するのは大変でしたが、介護できたことは幸せでした。
 でも、自分はそこまでやってくれる人がいないので、平均寿命を過ぎたら、本人の希望により楽に死なせてくれないかなと思っています。

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自分のように思えたらいいな

一時停止

そうですね。 自分がもし、その状態なら。 うれしいかも。 ほっとすると、気持も前向きになっていいですね。

そうですね。

自分がもし、その状態なら。

うれしいかも。



ほっとすると、気持も前向きになっていいですね。

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