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ボンジュール!パリからの健康便り

医療・健康・介護のコラム

子どもが高熱 「水風呂に入れろ」

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 「昨日ね、子供が熱を出して近くの小児科に行ったら、『水風呂に入れろ』と言うのよ、ねえ本当なの? 熱のある時に水風呂なんて考えられないわ」

 友人が心配そうに電話をかけてきた。確かにフランスの小児科では、急な高熱で、熱が下がらない時の対処療法として、部屋の温度を下げる、服を脱がせる、そして水風呂に入れる、といわれる。

 ただし、この場合の水風呂は文字通りに受け取ってはいけない。もし子供や乳児が39℃の熱を出して下がらない場合、お風呂の温度を子供の熱よりも2℃くらい低い温度にしてゆっくりと入れる。まったくの水風呂ではないし、勢いよく入れろというわけではない。時間は約10分程度。高くなりすぎた熱を、冷たい風呂で少し下げてあげるのだ。

 発熱は免疫力を上げ、ウイルスや細菌が増殖しにくい体温にするための防御機能のひとつと考えられているため、解熱剤はあまり使われない。また脱水症状を防ぐため、こまめな水分補給をこころがける。水風呂(本当はぬるま湯)は、もちろんすべての症状に適しているわけではない。まずは小児科にかかり、医師の判断を仰ぐことが欠かせない。

 そういえば、たくさんの人が亡くなった2003年のカニキュール(猛暑)の時も、新聞やテレビなどで、こまめな水分補給とともに水風呂が盛んに勧められていた。冷房が完備されていないフランスの住宅では、独り暮らしの老人などが脱水症状でずいぶんと亡くなった。この時は霊安室が一杯となったため、遺体収容のために冷凍トラックまで使われてニュースになった。

 もちろん我が家も冷房がないので、当時、暑くて仕方のない夜は、よく映画を見に行った。映画館は寒いほど冷房が効いていて、つかの間ホッとすることができた。映画を見終わって外に出ると、路上の電光掲示板に45℃と気温が表示されていた。太陽もとっくに沈んだ夜10時頃のことである。

 夜は氷枕を作り、頭や首に当てて寝たこともあった。暑くて眠れない時は、水に近いぬるま湯に身体を浸した。確かに身体の熱が取れて気持ちが良い。イギリスに住む友人に聞いてみたところ、やはりフランス同様、子どもが高熱を出した場合は、ぬるま湯に入れるらしい。

今週のトピック

睡眠6時間以下は要注意
 米国科学アカデミー(Pnas)の研究論文によると、イギリスで睡眠時間が6時間以下と少ない人では、代謝の調節(体重増加、糖尿病に関係)、心血管疾患、酸化ストレス(早期老化)などにかかわる700以上の遺伝子の発現に悪影響を与えると発表。フランス国立研究所でも、フランスの人口の約31%が6時間以下の睡眠とした。

n.m撮影

■ 今週の一句

夜半には 近づけぬかな 雛の部屋

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ボンジュール!パリからの健康便り_古田深雪_顔120px

古田深雪(ふるた みゆき)

1992年渡仏。
1997年より医療通訳として病院勤務。

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4件 のコメント

なんともタイムリーな話題、、、

みかちゃん

息子が数日前に華氏106.7度(摂氏だと41.5度)の大熱を出しました。それも解熱剤を飲んでたった1時間しかたってなかったのに。私たち家族はアメ...

息子が数日前に華氏106.7度(摂氏だと41.5度)の大熱を出しました。それも解熱剤を飲んでたった1時間しかたってなかったのに。
私たち家族はアメリカに住んでいます。昼間には病院に連れて行って抗生物質を処方していただいていたのですが、夜になってさらに熱が上がってしまったのです。
当然病院は開いておらず、夜間サービスに電話をしたところ、つめたいお風呂かシャワーに入れるように言われました。
でも息子は歯の根が合わないほどにガタガタと震えています。えーっ?こんなに寒くて震えているのに、つめたいシャワー?

、、、できませんでした。あまりにもかわいそうで。代わりに氷を入れた飲み物とアイスクリームを与え、髪だけぬらして、あとは塗らしたタオルを首筋と脇の下にあてがってやったのがやっとでした。

2時間後くらいには39度程度にまで熱が下がったので、あれで良かったんだと思います。
一晩中、30分おきに息子の体温を測り通しましたが、また40度にまで上がった時には冷たいシャワーをするつもりでいました。でも幸い翌朝までそれ以上に上がりませんでした。もしまた上がってしまったとしても、正直なところ、死んだ魚のようになっている息子を体温よりも低い水にさらすことができたかどうか、今でも定かではありません。

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いい発想ですね、温水浴。

産湯に似てる

熱があるときは風呂に入れと聞いたことがあります。日本でそういう事を聞くと、湯船を想像してしまいます。でも、温水@プール程度の事だったみたいですね...

熱があるときは風呂に入れと聞いたことがあります。
日本でそういう事を聞くと、湯船を想像してしまいます。
でも、温水@プール程度の事だったみたいですね。

一番怖いのは脳の内部の温度が上がったままだと意識障害などが起こるそうです。
脳が脳を守る為にが理由だそうです。
体の表面の血液やリンパ液を冷やして脳へ送れば、内部の温度が下がるのでしょうか?
なんか、そのように考えてしまいます。

カーレースのドライバーはヘルメットの中を空気で少し温度を下げる工夫をしているそうです。脳は一秒に100兆を超える演算をこなす臓器で、温度が普段でも上昇するので東部の皮膚から汗をだして冷やしているみたいです。

昨今は海外でも、安静に暖かくして寝ているように言われる地区もあります。
医者へ行ってもそう言われるからいかないとまで聞きます。
そういう地区にはエマージェンシー専用の電話があるので、そこで相談するといい時もあるそうです。すぐに病院へと言われる事もあるから。

子供の発熱は熱だけなら様子を見ると、日本に住んでいる私は聞いてます。
熱にほかの症状が出たときに医院へ躊躇無くいくようにとも。
1日で熱が一定の時間に出る時も医院へですね。
でも体力がそう消耗していないのなら、温水プールより若干暖かい湯船も部屋の温度を保っていればいいかなと思い始めました。水着着用で。

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伝統治療の功罪

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

難しいですね。問題は程度問題を誰が把握するかということです。(それは鎮痛剤が効くからと、過剰摂取するのに似た現象です。)水風呂はそういう「程度の...

難しいですね。

問題は程度問題を誰が把握するかということです。
(それは鎮痛剤が効くからと、過剰摂取するのに似た現象です。)
水風呂はそういう「程度のコントロールが難しいところ」がやりづらいところだと思います。
昔は薬も栄養源も手に入りづらかったので、現代より比較的有効な手段だったのだと推測されます。
(勿論、現代でも有効ではあると思いますが・・・)

原因の特定と対策ならびに水分と栄養の多めの摂取が無難かな・・・と思います。

個人的には、夏場の体に蓄積された熱の放散に使うのが王道じゃないかな・・・と思います。

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