文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

お知らせ・イベント

お知らせ・イベント

[小学生の部・優秀賞] 先生、いつもありがとう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

長谷川 和紀(はせがわ かずき) 愛知・小学6年生

 ぼくは、一年生の時に1型糖尿病になりました。1型糖尿病はすい臓の病気で、体からインスリンが分泌されなくなるので、生涯インスリン注射をしないといけません。主治医の先生は、「注射さえきちんとすれば、あとは他の子と何ら変わらないんだよ。」と言ってくれます。今は、毎日4回以上、自分で血糖測定してインスリン注射をしています。給食の前にも、教室で血糖測定と注射をします。学校では、クラスの友達といっしょに勉強したり遊んだりしています。毎月、主治医の先生の診察を受け、血液と尿の検査をします。その時、学校の話をしたり、時々ぼくの飼っているカブトムシの話をしたりもします。何でも話ができる、スーパードクターです。

 昨年、歯ぐきにのう胞ができました。乳歯と新しく出てくる永久歯の間にあるため、手術で取り除くことになりました。夏休みに歯科大学附属病院に入院する予定になりました。しかし、入院前日に病院から電話があって、急に入院も手術も中止になりました。1型糖尿病のために、手術中に高血糖や低血糖になる心配があるからだそうです。どうして1型糖尿病だとできないんだろう、と悲しくなりました。そんな時も主治医の先生は、「附属病院の先生に、きちんと話ししたんだけどなぁ。」と相談にのってくれました。

 その後、総合病院を紹介されて、口腔外科と内分泌科の先生の診察を受けました。外来でできる手術だけど、血糖が心配なので一日だけ入院することになりました。

 入院の日の朝、お父さんとお母さんと病院に行き、診察を受けました。先生は「心配ないよ」と言いましたが、ぼくは「やっぱり手術は怖いなぁ」と思いました。その日の午後に手術を受けました。手術中、先生はディズニーランドなどの楽しい話をしてくれて、怖さも半分になりました。無事手術が終わって、口の中から血が出てきましたが、体調はよかったです。先生は何度も病室に来て、「大丈夫だよ」と言葉をかけてくれました。ほかにも、先生の趣味のトライアスロンのことなども話してくれました。すてきな先生でした。

 この病院は「ぼくが生まれた病院」と、お母さんから聞きました。この病院で、ぼくのことを心配してくれるやさしい先生に手術してもらえて、よかったです。お父さんから、「附属病院の先生も、ぼくのことを考えて総合病院を紹介してくれたんだよ」と話してくれました。多くの先生がぼくのことを考えてくれているんだと思うと、うれしくなりました。

 ぼくは、ある日突然治らない病気になる辛さを知っています。そして、病気になってからいろいろな人に支えられてきました。ぼくも、多くの病気の人を助けてあげられる「医師」になります。1型糖尿病に負けず、「将来の夢」が実現できるよう、勉強や運動などを精いっぱい頑張っていこうと思います。

 

第31回「心に残る医療」体験記コンクールには、全国から医療や介護にまつわる体験や思い出をつづった作文が寄せられました。入賞・入選した19作品を紹介します。

主催:日本医師会、読売新聞社
後援:厚生労働省
協賛:アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)

審査委員:落合恵子(作家)、竹下景子(俳優)、ねじめ正一(作家・詩人)、原徳壽(厚生労働省医政局長)、外池徹(アフラック社長)、石川広己(日本医師会常任理事)、南砂(読売新聞東京本社編集局次長兼医療情報部長)<敬称略>

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

お知らせ・イベントの一覧を見る

最新記事