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からだコラム

[あなたと家庭医]喪失体験のケアへ

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 「夫が亡くなってから、心にとげのようなものがずっと刺さっていましたが、今日少し楽になりました」

 私が主催する語りの場「みんくるカフェ」で、グリーフケアについて対話をした時の参加者の言葉です。

 グリーフケアとは、愛する人を亡くした後の悲しみのケアのことです。喪失体験の後は誰でも、気持ちの落ち込み、興味が湧かないという抑うつ症状が1~2か月続き、半年から1年かけて回復していくと言われています。

 昨年6月、長野県松本市の葬祭ホールで開いたグリーフケアについて考える企画では、地元住民、医療従事者、僧侶、葬祭関係者など80人が集まりました。「医療は死で終わってしまう。逆に宗教者は死の後からしか関われない。もっとお互い協力するべきだ」「家族を亡くした悲しみは、経験していない人には話しにくく、孤立しがちだ」など、医療の現場ではなかなか聞けない本音を聞くことができました。

 それは私にとって衝撃的な体験でもありました。医師として、家族を失う深い悲しみに、これまでどれだけ真摯(しんし)に向き合ってきたのかと反省させられたからです。この対話によって、死に向き合うことは愛する人を考えることであり、自分がどう生きるかに向き合うことである、という共通認識が生まれたようです。

 こうしたグリーフケアや死の準備教育に、医療従事者のみならず、宗教関係者や市民ボランティアなどが協力して関わる時代になることを願っています。(みんくるカフェHP:http://www.mincle-produce.net/)(孫大輔、家庭医療専門医)

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