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からだコラム

[あなたと家庭医]地域住民と作る医療

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 家庭医や総合診療医はジェネラリストとも呼ばれます。「総合的な仕事をする人」という意味です。

 今月3日に「一般社団法人Medical Studio」(ホームページwww.medical-studio.jp)がジェネラリストに関するイベントを開催し、全国からなんと250人もの人々が集まり、「総合診療医が増えるとどんな良いことがあるのか?」などが熱心に議論されました。

 人口800人の沖縄の粟国(あぐに)島で、たった一人の医師である長嶺由衣子医師は、「ゆんたく」という島民の寄り合いにひんぱんに参加し、島民の生活に寄り添うことの大切さを強調しました。岩手県旧藤沢町で20年にわたり町民と「ナイトスクール」という勉強会をやってきた佐藤元美医師は、住民と腹を割って話し合うことで理想的な医療が成り立つことを、ユーモアを交えて語りました。

 このイベントで何より興味深いのは、医師、看護師、保健師などの医療専門職のみならず、企業の方、経済学者、政策研究者など多様な人々が登壇したり議論に参加したりしたことです。参加者からは「医療の問題はきっと医療関係者だけでは解決しない。垣根を越えて話し合う必要性を改めて感じた」などの感想が聞かれました。

 佐藤医師は「住民とともに作り上げる医療という考え方に夢中です。私たちも住民も、よりまともな医療をつくる力があると勇気がわいてくるからです」と言います。これからは、医師らが地域コミュニティーの中に入って語り合い、地域住民は自らの健康について考え、共に医療を作っていく時代になる、そんな風に予感しています。(孫大輔、家庭医療専門医)

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