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(45)役割見つけ 輝き取り戻す

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 高齢になると、閉じこもりがちになって、地域や社会とのかかわりが薄れてしまう人がいます。気力、体力が失われ、認知症の症状が進行する場合もあります。それでも、自分の役割が見つかると、また輝きだすから不思議です。

 雪子さん(88歳、仮名)は元助産師さん。認知症で施設に入っています。毎日、看護師の求人がないか新聞の折り込みチラシをチェックするのが習慣で、誰とも話をせず、外出に誘っても「忙しいから」と断るばかりでした。

 チラシを何度も見ている雪子さんに、「何年生まれですか」と聞いてみると、「何年かね。35歳くらいかね」。でも、求人広告の「45歳まで」という条件を見て悔しがっていました。

 ある日、私はこんな求人広告を作って、折り込みチラシに紛れ込ませました。

 「助産師募集。仕事は掃除全般、テーブルふき、窓ふき。年齢不問。労働時間は相談。担当・青山」

 雪子さんは早速、チラシを握りしめ、記載した電話番号に連絡してきました。だましているようで気がとがめましたが、面接をして採用を告げると、雪子さんはうれしそうに「仕事が見つかった」と周囲に話していました。

 最初の仕事は、食後のテーブルの片づけ。「お仕事です。お願いします」とふきんを渡すと、食器を重ね、テーブルを丁寧にふいてくれます。「お疲れさまでした」と渡したコーヒーを、おいしそうに飲む雪子さん。食器棚や畳も自分からふいてくれるようになり、しゃがんだり立ったり背伸びをしたりと体を動かすうち、元気を回復して笑顔も増えました。周囲から「ありがとう」と言われるたびに手を振る姿は、とても若々しく見えます。(青山幸広、介護アドバイザー)

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