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(3)ラドン 生理機能高める

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ラドン温泉から出る蒸気を、密閉した部屋で吸い込む熱気浴もある(三朝温泉で)

 東京電力福島第一原発の事故以来、放射能の不安からか一時客が激減したというラドン(ラジウム)温泉。ラドン温泉とはどんなものなのだろうか。

 ラドンは、ラジウムが変化した気体の放射性物質で、9割は呼吸で取り込まれ血流で全身をめぐる。「放射能泉」に分類される温泉のほとんどがラドン温泉だ。

 岡山大教授(放射線健康科学)の山岡聖典(きよのり)さんによると、効能は、低線量の放射線は体の組織に程よい刺激を与え、生理機能が高まるという理論に基づく。「ラドンが発する放射線はエネルギーの高いα(アルファ)線で、ラドンは脂に溶けやすく、脂肪の多い内分泌腺や神経線維などに集まりやすいため、ホルモン分泌を高め、鎮痛効果などを発揮します」という。

 血管収縮の改善や抗酸化作用、鎮痛効果があるβ(ベータ)エンドルフィンが増加したとの、人を対象にした研究もある。

 国内有数のラドン温泉、三朝温泉(鳥取県)に30分程度入った場合、被曝(ひばく)量は0・001ミリ・シーベルトで、肺のエックス線検査1回(0・05ミリ・シーベルト)の50分の1。体内に取り込まれたラドンの放射能が半分になる時間は約30分と短く、5時間もすると体内からほぼ消える。

 同大病院三朝医療センターは、ぜんそくや関節痛、冷え性の患者らを対象に、温泉を混ぜた泥を体に当てたり、蒸気を吸い込んだりする治療を行っている。センター長の光延文裕さんは、「ラドンそのものだけでなく、温泉が持つ温熱効果も大きいと考えられるが、数日以上滞在して効果を体感してほしい」と話す。

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