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最新医療~夕刊からだ面より

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腰痛診療指針…画像検査 不要な場合も

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 日本整形外科学会と日本腰痛学会が、腰痛診療ガイドライン(指針)をまとめた。腰痛の大半は、画像検査などでは原因が特定できないものであり、必ずしもすべての患者に画像検査をする必要はないとしている。

大半の原因は特定困難

 腰痛は、〈1〉がんや感染症、骨折などの重い脊椎疾患があるもの〈2〉足のしびれや脱力、感覚のまひなど神経症状を伴うもの〈3〉非特異的腰痛――に分かれる。

 非特異的腰痛とは、「原因がはっきり特定できない腰痛」のこと。ぎっくり腰や腰に負担のかかる作業のほか、心理的ストレスでも起きる。腰痛の85%を占めるというデータもある。

 ぎっくり腰の場合、椎間板の損傷や腰の関節の捻挫など、何らかの損傷が背景にあると考えられているが、画像検査では判別できない。また、中高年や高齢者だと、椎間板がはみ出たり、軟骨がすり減ったりしている人が多いが、同じような状態でも腰痛のある人とない人がいる。画像で加齢による変化が見つかっても、それが腰痛の原因とは言えないのだという。

 そこで、指針は、まず注意深い問診と体の診察を行い、〈1〉、〈2〉の疑いのある場合は画像検査をするが、大部分を占める〈3〉については必ずしも画像検査の必要はないとした。「痛みがあるのに、原因不明と言われると落胆する方もいると思いますが、こうした腰痛の多くは運動や薬の治療で改善できます」と、指針作成委員の1人で福島県立医大整形外科教授の矢吹省司さんは説明する。

 指針は、国内外の約4000件の医学論文から厳選された約400件の結果を基に作られた。

 3か月以上続く慢性腰痛では、運動療法に明らかな効果が認められた。ストレッチ、腹筋や背筋の強化、ウオーキングなどの全身運動、プール内でのリハビリ、治療のために考案された腰痛体操などがあるが、運動の種類による効果の差はなかった。

 発症後4週間未満の急性腰痛では、運動療法の効果は認められなかった。ただし、がんや骨折などの治療が必要な原因がない場合は、安静にしているより、無理のない範囲で日常の活動を維持した方が、より早く痛みが改善することもわかった。

 職場の人間関係や仕事量の多さ、仕事上の不満、うつなどの心理的ストレスがあると、腰痛を発症しやすく、慢性化しやすい。痛み自体もストレスになる。指針では、ものの考え方や行動を変えることでストレスを減らす認知行動療法も慢性腰痛に有効とした。

 薬も症状改善に効果がある。まず、非ステロイド系抗炎症薬やアセトアミノフェンといった鎮痛薬を使い、慢性腰痛で十分な効果が得られない場合は、抗不安薬や抗うつ薬も使う。

 「腰痛があると、体を動かすのが不安で動きが少なくなる。すると、神経が過敏になり、痛みを感じやすくなる」と矢吹さん。「できるだけ体を動かすことは、より早い回復につながります。薬は、痛みを和らげ動きやすくする手段と考えてほしい」と話している。(館林牧子)

 

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