いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ
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「冷え」で目覚める冬の真夜中
Bさんは、70代後半の男性で10年以上前に胃がんのため、胃をすべて切除する手術を受けられました。5年前から糖尿病をわずらい、現在はインスリン療法を行っているBさんは体調を崩すことが多いのですが、主治医に相談しても「手術したのだから・・・」といって取り合ってもらえず、あきらめていたそうです。
しかし、「先生は外科医で漢方薬も処方すると聞いた。西洋医学ではわからない問題でも話を聞いてもらえるんじゃないか?」と、私のところへ来院されました。
関西弁のBさんは、長年の体の不調についての鬱憤を、初対面の私に延々と訴えました。若い頃はスポーツマンで人一倍、元気だったのに、胃全摘術を契機に体力が衰え始め、糖尿病もこれに拍車をかけたこと。いくら食べても太ることができないこと。食べた後に起こる腹痛、下痢、嘔吐などのダンピング症候群(胃切除後の後遺症)。年々衰えていく体……
そんな話の中でも、特につらいのが「手足の冷え」でした。
「夜中に何度もトイレに起きるんで、昼間、ついウトウトしてしまうんや」冬になると手足が氷のように冷たくなり、布団の中へ湯たんぽを入れていても夜中に冷え、一晩に何度も中途覚醒するとのこと。
加齢とともに体の中に蓄えていたエネルギーが徐々に不足していくため、手足を温める力が弱くなってしまい、漢方医学でいう「寒」の状態になっていたのでしょう。そこで、昔から年齢を重ねたときの体調管理に使われる漢方薬をお出しすることにしました。その薬は、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」です。この薬は、誰でも年を取ると経験する目の衰え、膝や腰の痛み、排尿に関連する悩みなどに用いることが多いものです。
2週間後、外来へお見えになったBさん、「先生に頂いた薬を飲んだ翌日から、夜中に目が覚めなくなり、昼間も手足がポカポカして気持ちが良いんですわ」と診察室に楽しい声を響かせてくれました。
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八味地黄丸(はちみじおうがん) 効能又は効果 活用自在の処方解説(秋葉哲生著、ライフ・サイエンス)より |
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ある程度の年齢になると夜中にトイレに起きるという悩みは結構あるのではないでしょうか。その原因が冷えだったとは。私も40代からその悩みがありました。結局、病気になり、いろいろな本を読み、冷えはよくないと知り、漢方薬を含めていろいろな努力をして、冷えがやわらいできたら、トイレの回数、頻度が大幅に減りました。
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家の家内は71歳です。今回今津先生がご紹介していただいた男性の方と全く同じ症状なので二人でびっくりしています。
早速、八味地黄丸を取り寄せたいとおもいます。有難うございました。
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