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最新医療~夕刊からだ面より

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特発性血小板減少性紫斑病…新薬 8割の患者に効果

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 血液中の血小板が、通常よりも早く壊れてしまい不足する「特発性(とくはつせい)血小板減少性紫斑病(しはんびょう)」(ITP)。悪化すると大出血を起こし、命の危険を招く恐れもある。血小板を増やす新薬によって、社会生活が可能になる患者が増えている。

脾臓摘出で根治も可能

 特発性血小板減少性紫斑病は、細菌などから体を守る免疫が、誤って血小板を壊すことが主な原因だ。国内では、胃がんを引き起こすピロリ菌感染者が多く、免疫異常の要因の一つと考えられている。

 血液1マイクロ・リットル中の血小板は健康な人で15万~40万だが、この病気では10万以下と少ない。血液が固まりにくく、内出血によるあざが生じたり、月経時の出血が多くなったりする。1万以下だと、脳や消化管の出血で命を落とす危険が高まり、入院が必要だ。

 1年間に発症する患者は約3000人。小児の多くは、発症しても6か月以内に治る。一方、成人は9割が慢性化し、免疫を抑えるステロイド薬(プレドニゾロン)の服用を続けなくてはならない。患者数は約2万人とされる。

 ステロイド薬は、感染症や糖尿病の副作用がある。このため、薬の減量や中止が可能なように、血小板が壊される脾臓(ひぞう)を手術で摘出したり、ピロリ菌の除菌治療が行われたりする。脾臓摘出で7割の患者が完全に治る。ピロリ除菌は、6割で血小板が増加する効果が認められている。

 血小板になる前の血液細胞に作用して血小板を増やす「トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬」が、2010年12月に使えるようになった。1日1回の内服薬と、週1回の注射薬がある。慶応大病院血液内科講師の宮川義隆さんは「8割の患者で血小板が増える効果がある。5万~20万の血小板数が維持でき、致死的な出血を避けられる。8割の患者でステロイド薬を減量か中止でき、生活の質が向上する」と説明する。

 静岡県のA子さん(44)は1992年4月にこの病気と診断された。2011年9月、症状が悪化。翌月、血小板は5000に減り、入院した。ステロイド薬では効果が不足だったため、TPO受容体作動薬の内服薬「レボレード」(一般名エルトロンボパグ オラミン)を始めた。約2週後、血小板は1万を超え、12月の退院時には3万に増えた。「仕事も元のようにできるようになった」と話す。

 手術で脾臓を取ると免疫が低下する心配があるため、TPO受容体作動薬を使う患者も多い。「出産の可能性がある女性には、根治を望める脾臓摘出を先に勧めることも多い。年齢や生活に応じた選択が可能」と宮川さんは話す。

 TPO受容体作動薬も、病気を元から治す薬ではないため、血小板が少ないうちは使い続ける必要がある。そこで、根治も見込める薬物治療として、血液がんに使うリツキサン(同リツキシマブ)が研究されている。1週おきに4回点滴し、血小板を攻撃する免疫細胞を全てなくす。

 海外では広く使われ、国内では慶応大が治験を進めている。宮川さんは「海外では5割の患者が有効との報告がある。現在、患者24人の経過を見ており、早ければ来年後半には承認の見込み」と話す。(渡辺理雄)

 

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