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マラソン運営、手腕に差 市民大会新設相次ぐ

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 空前のランニングブームを受け、政令指定市や県庁所在地で市民マラソン大会の新設が相次ぐ。ただ、先行の東京、大阪マラソンをなぞった画一的な運営が目立ち、巨額赤字を出した大会もある。地域の実情にあった運営が問われている。

 「横浜でもこんな盛り上がりを実現できたら」

 昨年11月25日、第2回大阪マラソンのスタート地点に、大会開催を検討する横浜市の西山雄二・スポーツ振興部長らの姿があった。

 横浜だけではない。2013年度以降、1万人以上の参加規模の大会新設が各地で目白押しだ。

 九州で唯一フルマラソン大会がなかった佐賀県では4月7日に佐賀市を中心にさが桜マラソンを開く。14年2月開催の北九州市、15年春の北陸新幹線開業の記念大会を同11月に開く金沢市、県と共同で中四国最大の大会の15年秋開催を目指す岡山市などが続く。

 市民ランナー向け雑誌、月刊ランナーズの調べによると、日本陸連公認コースを走った国内のフルマラソン完走者は大会の増加で、最近5年間で2・4倍に膨らんだ。月刊ランナーズ発行元で各地の大会をサポートするアールビーズ社の橋本治朗社長は「ブームは緒についたばかり」とする一方、「市民マラソン大会は次の分水(ぶんすい)(れい)に向けて議論する時に入った」と語る。

 新設大会は、経済効果や情報発信を狙った知事や市長の一声で動いたケースが大半。自治体が中心になり参加費と公金、地元企業の協賛金を収入の柱にした運営を目指すが、役所にノウハウはない。「協賛金が集まらず、東京、大阪並みの警備体制をとれない」「東京、大阪に準じた救護体制をとる人手がない」といった悩みを聞くという。

 実際、昨年3月の第1回京都マラソンは赤字2億3100万円を出し、京都市が公金を追加支出して穴埋めした。救急車など緊急車両の通行対策で警備員が計画の3倍以上に膨れ、交通規制の周知費用も予想を上回ったためだ。

 第2回大会は事業費を1億円以上圧縮したが、それでも1億3000万円の増収が必要で、参加費を1万円から1万2000円に引き上げた。大会運営費へ寄付金(1人10万円以上)を出す代わりに抽選なしで出場できる枠を「チャリティーランナー」の名称で募集したが、「本来のチャリティーと誤解を招く」と名称変更を余儀なくされた。

 一方で、「公金ゼロ」の運営をしているのは、昨年11月に第7回大会を開いた湘南国際マラソンだ。

 実行委員会に名を連ねる沿道の神奈川県の3市2町は、地元への協力要請を担い、運営は、日本テレビ24時間マラソンのランナーを指導する坂本雄次さんが社長の企画運営会社、ランナーズウエルネスが担当。

 2万3500人の参加費中心に成り立つよう、研修を積んだボランティア3000人に警備誘導に当たらせて警備費を抑え、交通規制の広報もミニコミ誌やラジオ局に依頼してコスト削減した。坂本さんは「工夫次第でサービスを落とさずに、民間主導で取り仕切る欧米同様の大会運営ができる」と自信を示す。

 アールビーズ社の橋本社長も自治体主導の現状を、「安全に意識が行きすぎ、地域の特徴を生かした企画まで目が行っていない」と指摘。「米国には各地の大会主催者が一堂に会して意見交換する催しがある。日本でもそうした交流の場が必要では」と提案する。

 東京マラソンがロンドンなど世界五大マラソンで構成する「ワールドマラソンメジャーズ」に加盟。大阪もシカゴマラソンとの提携で国際化を図る。市民マラソンの二極化が進むのは間違いない。第1回で何をやり、第2回以降はどう魅力をプラスしていくか。中長期の展望を見据えた開催体制をつくる必要がある。(大阪本社編集委員 井手裕彦)

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