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企業の障害者雇用枠が拡大

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 企業に義務付けられた障害者雇用の枠が、今年4月から広がるらしいけど、どう変わるの?

求人求職 双方から後押し

作図・デザイン課 斎藤仁

 障害者雇用促進法は、常時雇用する従業員が56人以上の企業に、従業員数の一定割合の障害者を雇うことを義務づけている。この比率を「法定雇用率」という。現行は1・8%だ。これを下回った一定規模以上の企業は、納付金を支払わなければならない。

 実際に企業が障害者を雇った実雇用率は、昨年は1・69%だった。これは過去最高だったものの、法定雇用率を割り込んでいる。対象となる約7万6000社のうち、法定雇用率を満たしていない企業は53%で、このうち6割が障害者雇用ゼロだった。

 このため、障害者雇用をさらに進めようと、国は4月から、法定雇用率を2・0%に引き上げる。対象企業も「常時雇用50人以上」に広げる。

 しかし、障害者雇用は規模の小さい企業ほど進んでおらず、常時雇用が56人以上、100人未満の企業の実雇用率は1・39%と低い。この状況をそのままにして、法定雇用率のハードルを上げ、より小規模な企業を対象に加えれば、未達成企業が増え、実雇用率が下がりかねない。そこで国は今、未達成企業への働きかけを強めている。

 国の調べでは、従業員数が300人未満の企業の多くは、障害者を雇っていない。常時雇用56人以上、100人未満の未達成企業の97%は、一人も障害者を雇用していない。ハローワークは、こうした企業が障害者を雇えるよう指導し、支援しているが、新たに対象となる常時雇用50人以上、56人未満で、障害者を雇っていない企業もリストアップし、就労のあっせんを始めた。

 中小企業に手厚い特定求職者雇用開発助成金の活用も勧めている。これを使えば、ハローワークを介し、中・軽度の身体障害者、知的障害者をフルタイムで雇った場合、中小企業には6か月ごとに45万円、最大で1年半、計135万円が給付される。ノウハウがない企業には、障害者が職場になじむのを助けるジョブコーチの派遣制度もある。

 一方、求職者には、国が昨年末、ハローワークのホームページ上で障害者向けの求人を検索できるサービスを開始。求人、求職の双方から、障害者雇用の拡大を目指している。(梅崎正直)

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