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山口デスクの「ヨミドク映画館」

yomiDr.記事アーカイブ

方向音痴ではダーティハリーになれない!

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 遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

 今年もこのブログをどうぞよろしくお願いします。

 さて、今年1回目はどの映画を紹介しようかと、昨年末からあれこれ悩みました。結局、医療・健康ネタをほぼ無視し、私の「好み」を最優先することにしました。一応、体(脳)に関係があることなのでお許しを。

 「ダーティハリー」(1971年/アメリカ)。今ではアカデミー賞受賞の名監督でもあるクリント・イーストウッドがアクションスターの地位を確立した作品です。

 私は、公開された時にこの映画を観ておらず、続編の「ダーティハリー2」(1973年)を先に観ました。中学2年生ごろだったかと思います。そのかっこよさにしびれ、1年か2年後にリバイバル上映で第1作を観たのです。

 ダーティハリーは、1988年の「5」までシリーズ化されましたが、何と言っても第1作が最高!

 ストーリーを簡単に説明すると、イーストウッド演じるサンフランシスコ市警刑事ハリー・キャラハンが、連続殺人犯「スコルピオ」(さそり)に翻弄され、最後は追い詰める、という話。組織やルールを多少無視してでも正義のために犯罪者に対峙する刑事という設定は、たぶん昔から映画の中で存在したのでしょうが、その後の映画やテレビドラマに多大な影響を与えたのは、このダーティハリーだとも言われています。

 では、この映画の何がかっこいいのか、箇条書きにしましょう。


(1)クリント・イーストウッドの容姿がかっこいい!

 身長が高く(188センチ説、192センチ説あり)、がっちりしている。目は大きくはないが目力(めぢから)が強く、刻まれたしわも渋い。初めて見た時、「ああ、アメリカ人って、眉毛と目がくっついてるんだ」と感心したものです。

 ハリーが仕事で着ているジャケット(ブレザー)の袖には、色の違う肘当てが付いていて、私は子供心に「大人になったらこんな服を着るぞ!」と決意。で、今、肘当ての付いたジャケットを2着持っています。ところが、全然かっこよくありません。なぜだ?


(2)セリフがかっこいい!

 ハリーは、どちらかというと寡黙。それだけに、ハリーが犯罪者に放つセリフのかっこよさが引き立ちます。この「決めぜりふ」は、ダーティハリーシリーズの大きな魅力となっています。

 前半の有名なシーン。ハリーがショップでホットドッグを食べていると、銀行強盗の現場に遭遇、車で逃走しようとする犯人グループに、口をもぐもぐ動かしながら大型拳銃「44マグナム」を数発ぶっ放す。右肩を撃たれて道路に倒れた強盗の一人のそばには、ライフルが落ちている。左手を伸ばせば取れないことはない。

 そこへハリーが近づいて見下ろし、44マグナムの銃口を突きつけてこう語ります。


 おうっと、考えは分かってるよ。俺がもう6発撃ったか、まだ5発か…。実を言うと、こちらもつい夢中になって忘れちまったんだ。

 でもこいつはマグナム44って言って、世界一強力な拳銃なんだ。お前さんのドタマなんて一発で吹っ飛ぶぜ。楽にあの世まで行けるんだ。運が良ければな。

 ……さあ、どうする?

 (声優の故・山田康雄の吹き替えバージョンから)。


 このセリフは、最後にもう一度出てきます。「おお、ここでこのセリフを使うか~」。初めて見た時、鳥肌が立ちました!

 ちなみに、「ダーティハリー4」(1983年)で、人質を取って銃を突きつける強盗にハリーが44マグナムを向けて言ったセリフ「Go ahead、make my day」は、アメリカで大流行。当時のロナルド・レーガン大統領も引用しました。

 意味は「撃ってみろよ、俺を楽しませてくれ」って感じでしょうか。


(3)44マグナムがかっこいい!

 刑事が狩猟用の大型拳銃を街中で撃ちまくる、その豪快さ。発射音も、日本の刑事ドラマで出てくる「バキューン」ではなく、「ズバン!」と腹に響く。肩から吊す革製のショルダーホルスターもかっこいい。

 中学生の時の私はモデルガンマニア。弾が発射されるのではなく、銃の質感やメカを楽しむおもちゃです(火薬を入れると音も出る)。私は少ないお小遣いやお年玉をコツコツためて、たまにモデルガンを購入していました。もちろん、44マグナムも購入…。

 だんだんマニアックになってきたので、もうこの辺でやめときます。


 さて、映画の中では、連続殺人犯スコルピオが少女を誘拐し、現金を要求。市は10万ドルを用意し、その受け渡しをハリーが引き受けます。スコルピオは公衆電話に電話をかけ、受話器を取ったハリーに次の場所を指示します。「次の指定場所ですぐに電話に出ないと少女を殺す」と言われ、ハリーは市内のあちこちを走らされるハメになります。

 この場面を観る度に、私は「ああ、この引き渡し役は自分にはできないな~」と思うのです。なぜなら、私は方向音痴だから。道に迷ってしまい、スコルピオが指定する場所にたどりつけない(涙)。

 どのぐらい方向音痴かというと、たとえばデパートのトイレに入って用を足すと、出る時には反対方向に行ってしまう。実は昨晩もある映画の試写会に行き、会場を出る時に反対方向に行こうとしてしまいました(苦笑)。もちろん、東西南北なんて分かりません。地図を見る時は、自分がいま向いている方向と同じ方向に地図を回さないと進めない。

 本当はここで方向音痴に関するウンチクでも語りたいのですが、取材したことがないので語れません。ただ、過去の記憶やネットで調べた限りでは、どうも医学的・科学的にはまだきちんと解明されていないようですね。脳の海馬が関係している、という記事は読みましたが…。

 よく言われるのが、「方向音痴は女性に多い。なぜなら、古代、男は狩猟で遠くに出かけるために空間認識能力が発達したが、女は家を守ればよく、空間認識能力を身に着ける必要がなかった」という理屈。なるほど、説得力がある気もしますね。でも一方で、そりゃ仮説に過ぎんよなあ、とも思います。男性でも私のような方向音痴はけっこういますから。

 でも私は地方支局時代、事件や事故、火事などの現場に車を運転して急いで向かう時に、道に迷ったことはないんですよ。当時はカーナビもなかったのに。

 もう、必死で地図を凝視しながら、「何本目の交差点を右に曲がって、この消防署を左折して…」と、道順を意識しながら運転しました。必死になれば、苦手なことでも何とかなるものです。

 今は車を運転して取材することはないので、電車と徒歩で目的地に向かいます。初めての場所に行く時は、事前に地図を印刷して持参し(時には縮尺の異なる2種類を用意)、歩いて向かう時は、帰りに迷わないように時々振り返って景色を見るなど、工夫しています。

 時にはGPSを使ったスマートフォンの地図機能を使うこともあります。車にはカーナビもあるし、方向音痴にはありがたい世の中になりましたね。

 …そうか。スマートフォンがある今なら、私でも身代金の引き渡し役は務まるかも!



ダーティハリー 特別版
価格:1,000円(税込み)


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山口デスクの「ヨミドク映画館」_顔87

山口博弥(やまぐち ひろや)

読売新聞医療部デスク

1987年 早稲田大学法学部卒、読売新聞入社

地方部、社会部などを経て1997年から医療情報室(現・医療部)。

趣味は武道。好きな映画は泣けるヒューマンドラマとアクションもの。

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2件 のコメント

コメントへのお返事

山口博弥(読売新聞)

tamasamiiyaさま >ところが、男は出た先でいい女に巡り会えればそこに居座ってしまう。 むむ。。。 方向音痴の話が、私が予想しないテーマ...

tamasamiiyaさま



>ところが、男は出た先でいい女に巡り会えればそこに居座ってしまう。



むむ。。。

方向音痴の話が、私が予想しないテーマに・・・。



居座る場合もあるでしょうけど、最後は「巣」に戻ってくるオスもけっこう多いのではないでしょうか。

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女は方向音痴ではない

tamasamiiya

家を守るということは、出たら家に戻らなければならない。いわゆる、帰巣本能が備わっているはずです。ところが、男は出た先でいい女に巡り会えればそこに...

家を守るということは、出たら家に戻らなければならない。
いわゆる、帰巣本能が備わっているはずです。
ところが、男は出た先でいい女に巡り会えればそこに居座ってしまう。

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