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高宮静男 西神戸医療センター精神・神経科部長(下)養護教諭 積極関与を

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 小中学校や教育委員会と連携し、摂食障害の治療や早期発見、予防に取り組む西神戸医療センター(神戸市西区)の精神・神経科部長の高宮静男さんは「子どもの立場に立った心のこもった対応が必要だ」と訴える。

摂食障害に関する勉強会で、養護教諭らの質問に答える西神戸医療センターの高宮静男さん(神戸市西区で)=笹井利恵子撮影

 

ためらわず保護者と相談

 <高宮さんは毎年20回近く、兵庫県内の小中学校を中心に、子どもの健康管理などを担う養護教諭らを対象に勉強会を開いている。先月24日には約70人を前にこう呼びかけた。『急な体重減少で危ないと思えば、ためらわずに保護者を呼んで相談してください。遠慮すると、命に関わります』>

 小学校の高学年になり、1人で風呂に入り出せば、一緒に生活する親でも痩せたかどうか、気づきにくい。おやつを食べようとしないのも一つの兆候ですが、「スリムが良い」と考える親も多く、見過ごしてしまうことも多いんです。

 <摂食障害で入院しても養護教諭が積極的に関われば、退院後は再入院や不登校などが減らせる>

 定期健診で、標準体重より15%以上軽い子がいれば、要チェックです。例えば、標準体重が、50キロ・グラムなのに、42キロ・グラム程度であれば注意すべきです。また、小中学生の成長期で体重が増えなければ、気を付けた方がいいです。

 気になる子がいれば、定期的に血圧を測定し、体調などを聞き取ってもらいます。会話などをする中で、自己表現力もついてきますし、継続的に何でも話してもらえる環境は、予防のためにも必要です。

自分の子のような感覚で

 <学校との連携がうまくいけば、発症したとしても、入院せずに通学を続けられる>

 約5年前、中学2年の水泳部の女の子は養護教諭が1か月で体重が40キロ・グラムから、32キロ・グラムと急に減ったのに気づいてくれて、早期対応につながりました。本人は記録を上げたい一心で、親も病気と思っていなかったのですが、2か月近くかけて通院するよう説得してくれたんです。

 学校側からは週に3回程度、血圧や脈拍、体温のデータを報告してもらい、顔色がすぐれない時は、保健室で休むなど体調管理に努めてもらいました。

 最初は運動制限を理解できず、部活動に行こうとしましたが、部活動の顧問らの協力で、ドクターストップを徹底してもらいました。そのおかげで体重も戻り、半年近くで部活動にも復帰でき、高校進学後も、『大会で良い記録を出せるよう頑張る』と笑顔で報告してくれました。

 <高宮さんは全ての患者に対し、治療を終える際、『いつでも相談に乗るよ』と送り出す>

 就職など様々な転機でストレスを感じることもあるはずです。不安に思った時、私との話を思い出してほしいのです。医療者として客観的な立場に立たないといけないと思うのですが、年少の患者は自分の子どものような感覚があります。私やスタッフとともに歩み、最後は離れて巣立っていく。進学や就職、結婚などで自分なりの人生を歩んでいる報告を頂く時が、一番うれしいですね。(聞き手 平井宏一郎)

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