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希少難病の患者支援 情報発信、孤立を防ぐ

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 全国でもまれにしかいない難病患者を支えようと、京都市のNPO法人「希少難病患者支援事務局(ソルド)」が、ラジオで活動を報告したり、インターネットで患者同士を結びつけたりと、孤立しやすい難病患者への支援を続けている。

地域FMやSNSで交流

ラジオ番組に出演する中岡亜希さん(左、京都府宇治市で)=大西健次撮影

 「皆さん、希少難病という言葉を知っていますか」

 12月、京都府宇治市のコミュニティーラジオ局「エフエム宇治放送」の収録スタジオ。ソルドの副代表理事で、パーソナリティーを務める中岡亜希さん(36)が優しく語りかけた。

 番組のタイトルは「空と向日葵(ひまわり)」。2010年4月に始まり、毎月第2金曜の午後6時から30分間放送される。エリアは宇治市など周辺3自治体に限られるが、同放送局のホームページ(http://www.fmuji.com/)で過去の放送を聞くことができるため、全国から番組に自らの闘病体験などのメッセージが寄せられている。

 中岡さんは国内に推定300人とされる「遠位型ミオパチー」の患者だ。

 国際線の客室乗務員だったが、告知を受けた約4年後の2005年に仕事を辞めた。遠位型ミオパチーは手足の筋力が低下し、十数年で歩くのが難しくなる進行性の難病だ。原因は不明。治療法も確立されていない。

 こうした病気は希少難病と呼ばれ、5000~7000種類あるとされる。このうち、国が医療費や研究費の助成をしたことのあるのは約480の病気にとどまっている。

 番組は、国の難病対策の対象とならない患者と、病気の原因解明や治療法の開発を目指す研究者をつなげるのが狙いだ。

 中岡さんは「患者会すらないことも少なくなく、孤立しやすいのが希少難病患者。患者やその家族が行動するために必要な情報を発信したい」と話す。

 ソルドはネット上でも活動を展開している。昨年、難病の患者同士をつなぐインターネット上の交流サイト「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」を開設した。サイト名は「Re:me」(リミィ)。「メールの返信(Re:)が自分宛て(me)に届いてほしい」という願いが込められている。

 患者数が少ない病気だと、相談できる患者を見つけるのが難しい。だが、不特定多数が利用するネット上に個人情報を公開し、同病患者を募ることに抵抗を感じる人も多いため、無料の会員制SNSであるリミィを開発したという。

 リミィでは、同じ病気の患者や症状で検索する機能があり、ニックネームでもやりとりできる。

 約350人いる会員は徐々に増えている。大阪府の寺西裕美さん(48)もその一人で、まれな、筋肉疾患の患者だ。40歳の時に爪先立ちがしにくくなるなどの症状があらわれた。今はつえをついて生活している。

 サイト上でのやりとりのほか、そこで知りあった人と一緒に甲子園で野球を観戦するなど患者同士の交流が深まったという。「希少難病患者とその家族限定だから安心して使える。私だけではない。がんばろうという勇気をもらえる」と寺西さん。ソルド事務局長の加賀俊裕さん(26)は「患者さん同士のつながりが生まれればうれしい」と話している。ソルドのホームページアドレスは(https://www.sord.jp/)。電話は075・744・3399。(加納昭彦)

国の難病対策の見直し
 研究費への助成は130の病気が対象。うち56の病気は医療費助成の対象にもなっている。公平性の面で問題があることなどから見直しの議論が進んでいる。医療費助成の対象は300超、全ての対象患者に所得に応じた自己負担が求められる見通し。
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