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(39)小型の木の浴槽で安心

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 高齢になると、自宅のお風呂が使いにくくなる場合があります。滑りやすかったり、大きすぎたり。一人で安心してお風呂に入りたいというお年寄りにお勧めしているのが、小型の木の浴槽です。滑りにくく、体がぴったり収まるサイズで安定します。

 みちこさん(86歳、仮名)は昨年91歳だった夫を自宅でみとり、今は独り暮らし。隣県に住む息子さん夫婦が週に何度か様子を見に来てくれます。本人はいたって元気で自立した生活を送っているのですが、お風呂だけが悩みの種でした。

 自宅のお風呂はタイル張り。滑って危ないので、仕方なくシャワーだけにしていました。ケアマネジャーに相談しても、デイサービスのお風呂を勧められるだけ。昔住んでいた家の木のお風呂を思い出し、「あれなら入れるのに」と懐かしんでいました。

 そんなとき、私がお勧めしている浴槽のことを知り、電話をくれました。お宅にうかがい、お風呂を見せてもらうと、頑丈な作りで、壊すだけでも費用がかさみそうです。すると、「このお風呂に、木のお風呂をすっぽり入れられないかしら」と、みちこさん。何と斬新なアイデア! 早速、浴槽のサイズとみちこさんの肩幅を測り、安定して入れるサイズを割り出して、その場で発注。1か月後の完成を楽しみに別れました。

 ところが、納品の連絡で息子さんに電話すると、何とみちこさんは軽い脳梗塞で倒れ、入院中とのこと。完成が遅かったかと青ざめました。木の浴槽がぴったりタイルの浴槽にはまったところを写真に撮って、心配しながらお見舞いに。「このお風呂に入るまで、死ねないわ」。みちこさんは元気な声で、私を力づけてくれました。(青山幸広、介護アドバイザー)

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