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海外通販 模倣品被害…日本語サイト、安さにつられ

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 海外業者が運営する日本語表示の通販サイトで、模倣品を巡るトラブルが相次いでいる。国内に店舗があるように装ったり、掲載写真が正規品だったりするため、気づかず買ってしまう例が多いが、商品の交換や返金は難しい。悪質なサイトを見極める目を養う必要がある。

 東京都町田市の主婦(51)は一昨年9月、インターネットを見ていてある広告に引き付けられた。気に入って履いているブランドのブーツが約4000円。正規店の店頭価格の20%ほどだ。「この値段ならもう1足欲しいと思いました」

 販売サイトを見るとすべて日本語。「正規品を証明するシールが付く」とも書いてあり、カード払いで注文した。

 ところが3週間後に届いた商品の発送元は、なぜか「中国」だった。梱包(こんぽう)の箱も粗悪で、羊毛のはずのブーツ内側も化繊のような手触り。正規店で購入した品との違いは明らかで、模倣品だと気づいた。

 「ネットでの買い物は安く、調べれば掘り出し物が見つかるという先入観があった。軽率だった」と悔しがる。ブーツは箱にしまったままだ。

 「偽物が届いた」「本物と交換したいが業者と連絡が取れない」――。海外から購入した商品についての相談窓口「消費者庁越境消費者センター」には、模倣品サイトに関する相談が連日のように寄せられる。一昨年11月の開設時から昨年9月末までの累計は443件で、全相談の約3割にのぼる。圧倒的に多いのがブランドものの衣類や靴。被害に遭う人は30~40歳代が目立つ。円高による海外通販人気も背景にある。

 同センター事務局の矢井知章さんは、「季節や流行を反映し、消費者が欲しがるものをすぐ売り出す」とあきれる。

 こうした模倣品サイトは、中国を中心とした海外の業者が、ブランドの公式サイトにある写真や説明をそのままコピーするなどして制作。日本語表示のものが大半だ。偽物と訴えても連絡がつかないか、まともに対応しないことが多いという。「日本語表示による安心感や価格の安さから、『手に入れたい』という気持ちが先に立ち、被害に遭っているようだ」と矢井さん。

 模倣される企業側も対応に頭を悩ませている。

 高級海外ブランドを中心に約70社が加盟する「ユニオン・デ・ファブリカン」(東京)は、加盟社や消費者らからの情報提供に基づき、模倣品販売が疑われるサイトから毎年100件程度試し買いをしている。事務局長の堤隆幸さんによると、「疑われたサイトの99%で実際に模倣品を扱っていた」。毎年、特に悪質性が高いと判断した約50件について金融機関に口座凍結を要請。しかし模倣品サイトは次々と登場し、「少なくとも常時200程度ある」という。

 海外業者の模倣品サイトによるトラブルは、経済産業省や消費者庁なども注視しているが、対応は遅れている。「中心的存在の中国との間で、模倣品サイトの削除は課題になっているが、本格的な議論はこれから」(経済産業省模倣品対策・通商室)という。

 堤さんは「被害を訴えている人は氷山の一角だろう。関係省庁や業界団体などが連携し、模倣品サイトをなくす対策を講じるとともに、消費者への啓発も強化しなければならない」と訴える。

返品・返金困難 泣き寝入り

 海外業者が運営する模倣品サイトで被害にあった場合の救済策はあるのだろうか?

 カード決済の場合、クレジット会社が問題のある取引などと判断すれば、返金される可能性がある。ただし、日本クレジット協会によると、「判断基準は各社各様」だ。たとえば、「返品が必要」などと言われると、サイトや商品の梱包(こんぽう)から返送先を読み取れないことが多い上、模倣品を海外に送ることも関税法違反にあたる可能性があり、事実上難しい。

 日本通信販売協会の八代修一さんは「残念ながら、被害の回復は非常に難しい。ほとんど泣き寝入りせざるを得ないのが実情」という。

連絡先確認 自衛の一歩

 自衛の意識を持つことが求められるが、模倣品サイトは、どう見極められるのだろう。

 ネット取引のトラブルに詳しい「ECネットワーク」理事の原田由里さんは、「まず、サイト内に電話番号などの連絡先が、きちんと書いてあるかどうかを確認して」という。

 特定商取引法では、通信販売事業者に、事業者の名称や住所、電話番号などの表示を義務付けていて、海外の業者が運営するサイトでも国内向けのものなら適用対象。連絡先が、匿名でも取得できるフリーメールしかなかったり、県名と市町村名しか書いていなかったりするものは避ける。

 最近は、実在する日本の企業や通販会社の名称、住所をコピーしている模倣品サイトも登場しているが、「電話番号はまず書かれていません」という。

 つたない文法や誤字もチェックポイントだ。商品を紹介するページなどでは分かりづらいが、注文方法や規約などが書かれているページを見ると、「使い方のおかしい助詞や丁寧語などが結構ある」。

 このほか、「セール時期でもないのに正規品の半値以下で売っている」「大手カード会社や通販サイトのロゴが表示してあるが、クリックしても移動しない」「ドメイン(ネット上の住所)が、ブランド名の前後に別の単語を付け足したようなもの」といった場合も、注意が必要という。

 原田さんは「ネット上で買い物をする際、商品名に『安い』というキーワードを入れて検索することがよくあるが、その結果、模倣品サイトが出てくることもある。身近な問題だと認識して、気をつけてほしい」と話す。

 購入してしまった模倣品は、不要だからと言って、ネットオークションなどで販売すると、商標法に抵触するおそれがあり、注意が必要だ。(斎藤圭史)

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