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基礎からわかる年金「過払い」解消(4)

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Q 課題は…デフレ続けば給付抑制困難

 過払いの解消は、消費税率の引き上げとほぼ同時期に実施される。消費税率は14年4月に8%、15年10月に10%になる予定だ。景気動向を見極めて実施するかどうかを判断することになっているが、万一、引き上げが見送られる事態になれば、年金減額にもストップがかかる可能性がある。消費を冷え込ませ、景気をさらに悪化させる恐れもあるからだ。

 しかし、現状を放置したままでは、年金財政の安定化に踏み出せない。着実に実施できるよう、来年前半の景気回復に向けた経済対策の充実が求められる。

 過払い解消後の課題もある。

 まず、マクロ経済スライドの適用ルールの見直しだ。今は、物価や賃金が下がったときには発動しないルールになっている。このため、年金が本来の水準に戻った後も、デフレ経済が続く限り給付抑制に着手できない。

 社会保障・税一体改革でも、このルールの見直しが検討されたが、結局は見送られた。しかし、現役世代の賃金低下をよそに、年金額が高止まりすることになれば、若い世代の年金不信を強めかねない。デフレ脱却の見通しが立たないなか、有識者らの間では「見直しはやむを得ない」との声が強い。

 さらに、持続可能な年金制度とするためには、支給開始年齢の引き上げや、高所得の高齢者の年金減額なども検討課題になる。いずれも、一体改革で議論されたが、棚上げされたものだ。

 将来の給付水準の低下を最小限に抑え、老後の支えとなる年金制度を若い世代に引き継ぐために、「痛み」を伴う改革にも早急に着手する必要がある。

 社会保障部・安田武晴、滝沢康弘が担当しました。

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