文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

妊娠・育児・性の悩み

薄毛治療薬とEDの話

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 早くも年の瀬。皆様、あわただしく過ごしていることと思います。今年最後のブログは、髪の毛のお話をしたいと思います。

 ちょうど7年前になります。2005年12月、男性の薄毛治療が大きく変わる出来事がありました。プロペシアというお薬が販売されたのです。この薬の成分・フィナステリドは、海外ではまず、前立腺肥大症のお薬として登場しました。プロスカーという商品で、1錠あたりフィナステリドが5ミリグラムはいっています。

 フィナステリドは、体内でデヒドロテストステロンという物質の生成を防ぐ作用があります。これが、髪の毛をはやす働きもあることがわかり、日本国内では、男性型脱毛症(AGA)の薬(プロペシア)としてのみ使われています。フィナステリドの含有量は1ミリグラム、0・2ミリグラムと、前立腺肥大症の薬(プロスカー)と比べて少ない量です。

 このプロペシアに関し、かつて海外である論文が出されました。それは、プロペシアを飲んだ人の中で、勃起障害の副作用があるということなのです。さらに、その勃起障害は不可逆性(つまり、治らない)の可能性がある、という報告でした。アメリカでは、勃起障害の問題は日本よりも重大であると考えられています。服用を中止しても勃起障害がなおらないとして、患者が製薬会社を訴える事態になっています。

 しかし、最近出た報告では、全く違った見解でした。前立腺がん予防として、脱毛治療より多い量のフィナステリドを7年間投与された患者は、身体機能、メンタルヘルスまたは活力に全く悪影響をうけなかったとのことです。

異なる見方で正反対の意見も

 この調査は、18,000人超を対象に、前立腺がん予防薬としてフィナステリド(5mg/日)とプラセボ(偽薬)を飲んでもらい、効果や副作用を比較した試験でした。7年間の服用後、前立腺がん有病率は25%低下し、排尿困難などの症状がある前立腺肥大症は40%低下したのです。性機能障害(勃起障害など)は増加していたそうですが、頻度はそれほど大きくなく、時間とともに軽減していたとのことです。また、身体機能やメンタルヘルスも影響が無かったとのことです。

 この研究では、身体機能に最も大きな影響を及ぼしていたのは、他の内科的・行動的な問題(たとえば、心臓病や糖尿病などの病気や、喫煙など)とのことでした。

 フィナステリドに、その薬の利益を上回るような副作用があるのか?この問題に関しては、なかなか答えを出すことは難しいと考えられます。以前も同様な話をしたことがありましたが、論文というものは異なった見方をすれば全く正反対な意見が出てきてもおかしくないのです。

 なにが真実であるのか?結局はわからないのかもしれません。結局は、われわれは患者さんの利益のために勉強を続けて行くしか無いと考えている今日この頃であります。

 ちなみに、私も男性不妊症外来で、脱毛症治療薬の副作用も原因の一つと考えられる勃起障害の患者さんを診察した経験があります。その方は、薬を中断して、PDE5阻害薬(バイアグラ、レビトラ、シアリス)を投与して治療できました。もし、ご心配な方がいるようでしたら、悩まず、恥ずかしがらず、早めに泌尿器科での相談をおすすめします。

 私が、このブログを始めたのがこの4月なのですが、あっという間に年末になってしまいました。いつも稚拙な文章におつきあいいただき、ありがとうございます。今しばらく、ブログは継続して行きたいと考えておりますので、ご声援のほどよろしくお願い申し上げます。では、皆さん、良いお年を!!


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

オトコのコト_小堀善友顔120px20150821

小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

オトコのコト 医師・小堀善友ブログの一覧を見る

1件 のコメント

プロペシア万歳

tuiteru2

プロペシアが前立腺がんを予防する効果があり、しかも勃起障害の原因にもならないと知って安心してプロペシアを続けて行けます。貴重な情報ありがとうござ...

プロペシアが前立腺がんを予防する効果があり、しかも勃起障害の原因にもならないと知って安心してプロペシアを続けて行けます。貴重な情報ありがとうございます。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

最新記事