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[あなたと家庭医]在宅医療 普及へ奮闘

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 皆さんは「姥捨(うば)て山」の話を知っていますか? ある年齢になった老人が、口減らしのために山に捨てられるという悲しい物語です。近い将来この「姥捨て山」が現実になるかもしれません。

 今から18年後には、47万人の高齢者が自宅でも病院でも最期を迎えることができない「()取り難民」になる、という推計があります。現在の年間死亡者は120万人ですが、高齢者の増加に伴い、2030年には165万人に上ります。

 病院で89万人、自宅で20万人が亡くなると推計されていますが、残り56万人のうち、介護施設の9万人を除いた47万人が、死に場所がないのです。一体、この方たちはどうなってしまうのでしょうか?

 これに対する解決策のひとつが、在宅医療の充実だと思います。私たち家庭医や在宅医といった医師は多くの患者さんを自宅で看取っています。自宅では、病院のような医療を受けられなくて不安だと思われるかもしれません。しかし、自宅にいながらでも、注射や点滴の治療もでき、医師が訪問しない間は、看護師やホームヘルパーが頻繁に自宅に伺うことができます。

 俳人の正岡子規は、晩年を自宅で寝たきりで過ごしました。結核が脊椎をおかし、激痛に襲われる中、死ぬ間際まで俳句を作り続けました。「糸瓜(へちま)(さい)(たん)のつまりし仏かな」。病床から見えていた庭の糸瓜を詠んだ子規の辞世の句です。

 住み慣れた自宅で、家族と一緒に過ごしながら、自分らしい最期を迎える。そんな在宅医療の普及のため、私たち家庭医も日々奮闘しています。(孫大輔、家庭医療専門医)

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