前宮城県知事 浅野史郎(あさのしろう)さん 64
一病息災
[前宮城県知事 浅野史郎さん]成人T細胞白血病(2)「闘う」宣言 身体に力湧く
2009年に成人T細胞白血病(ATL)と診断された。ガツンと頭を殴られたようなショックだった。
しかし、立ち直りは早かった。
「闘う。必ず勝つ」。自らこう口にすることで、病気への姿勢を守りから攻めに変えた。不安が消え、身体に力が湧いてきた。
ATLは、治療法が確立していない難病だ。手ごわい相手だからこそ、闘いに集中することにした。
白血病には、骨髄移植が効果がある。だが、移植前に患者の骨髄を破壊する必要があるため、高齢者には負担が大きい。
患者の骨髄を一部残して、骨髄を移植する「ミニ移植」を行っている病院があることを知り、入院した。担当医師から「患者の半数は13か月以内に亡くなる」「移植で10~30%の致死的な合併症が生じる」と、厳しい現実も告げられた。
さすがに少し落ち込んだが、すぐに医師たちにこう宣言した。
「私には死ぬ前に行きたいところ、やり遂げたい仕事はありません。ただ、目の前の敵と闘うだけです」
友人たちも支えてくれた。高校の同級生で仙台厚生病院理事長の目黒泰一郎さんは「闘いがいがある。そして、勝てる闘いだ」と励ましてくれた。
1993年に、宮城県知事選挙に初めて挑んだ時と同じ、血湧き肉躍る気持ちがよみがえってきた。
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