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インテリア書道に挑戦…五感生かし 遊び心表現
形式にとらわれず、独創性や遊び心を自由に表現するインテリア書道。和洋を問わずどんな空間にもマッチするのが魅力で、シニア世代にも人気が広がっている。クリスマスに彩りを添える作品を書き上げようと、専門家に“弟子入り”した。
探検隊員は、いずれも大阪府枚方市在住の住田直史さん(74)、池田時子さん(67)。「書道は子供時代に学校で習った程度なので……」と、不安そうだ。
訪れたのは同市内にあるアトリエ「エスプリ・ド・マミ」。ここで教室を開いている空間・インテリア書デザイナーの越智まみさんが、「硬くならず、五感を使って自由に表現して」と笑顔で出迎えてくれた。
体使うこと意識
まずは基本から。扱いやすい小筆で、半紙に縦や横の線、円などを書いていく。「手だけでなく、全身を使うことを意識して」と越智さん。正座し、背筋を伸ばしてするものと思いきや、足を肩幅ほどの広さに開いて立つのが基本姿勢という。左から右に線を書く時は、左足に置いた重心を徐々に右足に移していく。縦線なら左足を半歩前に出し、右足へと重心を移動させる。手首をしっかり固定すると、真っすぐな線になる。
最初はぎこちない2人だったが、コツをつかむときれいな線を引けるようになった。線の太さに強弱を付けたり、かすれさせたりする第2段階もこなし、「すごくいい感じ」と越智さん。2人も自然と笑顔になる。「文字は直線と曲線で構成されています。基本ができていれば、必ずいい文字が書けます」
作品で大切なのは、何の字を書くかだ。池田さんは「明るいあしたが見えるようで、大好きなの」と「希」を選んだ。「宇宙のどこかに、私たちとは別の人類がいるのではと考えるとわくわくする」という住田さんは「宇」に決めた。用紙は、クリスマスらしい金色の文字が映えるからと池田さんが緑色、住田さんはえんじ色を選んだ。
1枚目は2人とも楷書で書いた。「さあ、これをアレンジしていきましょう」と越智さん。「『希』のイメージは楽しい感じ? それとも優しい?」という問いに、「楽しい感じかな」と池田さんが答える。「では、弾むような気持ちで体を動かして書いてみて下さい」という助言通りにすると、ぐっと柔らかな印象の字になった。
イメージを形に
住田さんは「宇」の「于」という部分を、人を思わせるような形にした。お手本に従うのではなく、自らのイメージを表現するのが、インテリア書道の面白さだ。
練習を始めてから1時間、試行錯誤の末、それぞれが会心の1枚を書き上げた。仕上げに、割り箸の角を使って名前を入れる。筆とは違うおもむきが出て、2人から思わず「よしっ」という声が漏れた。越智さんが「お二人とも優秀な生徒さんで、私は楽をさせてもらいました」とねぎらった。
金縁の額に入れると、さらに華やかさが増す。「文字に個性が出て面白い。早速、友人に自慢したくなりました」と住田さん。池田さんは「書いているうちにどんどん楽しくなりました。次はお正月に飾る作品を書こうかしら」と満足そうだった。(文・田島武文、写真・奥村宗洋)
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作品を美しく飾るポイント
・ | 額に入れるだけでなく、色合いをそろえたテーブルランナーやランチョンマットと組み合わせると立体感が出る |
・ | クリスマスならサンタの小物などを添えると、季節感や物語が生まれる |
・ | 誰かに見てもらってこその作品。人の目につきやすい位置や高さを考える |
(越智さんの話を基に作成) |
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「エスプリ・ド・マミ」では来年1月17、18日に「暮らしを彩るインテリア書道1dayレッスン」を開く。両日とも正午~午後2時、午後2時半~同4時半の2回。参加費5000円(材料費、茶菓代含む)。定員は各回8人。申し込み・問い合わせは、名前、連絡先、希望日時を書いてファクス(072・852・2374)またはメール(info@esprit-de-mami.com)で。
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