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海原純子のハート通信

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心のゆがみに気づく方法

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 先週、札幌市で開かれた第28回日本ストレス学会学術総会のテーマは「ストレス科学は地域をどう支援できるか?」でした。シンポジウムは「地域高齢者のストレス科学」「災害ストレスを地域支援の観点から見直す」「ストレスケアとIT技術」などが取り上げられ、特に地域ケアにおけるうつ病と自殺の予防に重点が置かれた内容でした。

 この中で認知行動療法の活用があらためて取り上げられていました。認知療法はアメリカの精神科医アーロン・ベックが考案したものです。物事の受け取り方、とらえ方が気分に影響し変化することに注目して、物事を柔軟にとらえるようにして気分を変え、うつ症状を改善する方法です。

 また行動療法は、自分が行った行動の成果を見える形にして行動目標を設定していくことで、うつ症状を治療する方法です。こうした物の見方を変え、行動療法を併用して抑うつ気分を改善するのが認知行動療法で、わが国では、国立精神・神経医療研究センターの大野裕先生が、この分野の第一人者です。うつ症状の治療を始め、うつには至らないものの気分が落ち込む、いわば、うつ予備軍の方たちの生活の質とウェルビーイングのために応用されています。

 さて、物事をネガティブにしかとらえられない時、大野先生は「認知のゆがみ」があると指摘しています。例えば、


(1)

想像で判断して落ち込む

(2)

拡大視・縮小視=自分の関心のあることは大きくとらえ、自分の考えに合わないことは小さく見る傾向

(3)

極端な一般化=わずかな事実をとらえ、決めつけてしまう


 こうした思いこみによるゆがみを修正する方法として、大野先生は「根拠はどこにあるか」「別の考えはないか」などと自分に問いかけていくことで、心の中のゆがみに気づくことが大切、と指摘しています。

 認知のゆがみに気づきやすくするため、ノートに自分の落ち込んだ状況を書いていく。そして自分の感情について話す。次に根拠や代わりの考え方を書く。そして、心の状況の変化について書く・・・ことなど、自分の考えを客観的に見直す方法を紹介しています。

 マイナスに物事をとらえ始めると自動的に次々と否定的な思いや想像が膨らみ、気分が落ち込んでくるものです。これをストップさせ、柔軟なとらえ方に変えていくことがうつ予防に重要といえるでしょう。


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海原純子ブログ_顔87

海原 純子(うみはら じゅんこ)

1976年東京慈恵会医科大学卒業。日本医科大学特任教授。医学博士。2008-2010年、ハーバード大学及びDana-Farber研究所・客員研究員。現在はハーバード大学ヘルスコミュニケーション研究室と連携をとりながら研究活動を行っている。

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6件 のコメント

実態があるもののゆがみ

克明な記録と共に生きる

悩みって誰にもありますよね。 ほとんどの人は「悩める健康人」だそうです。 そういう方は専門家にちょっと行けばいいとは思います。 問題は悩める不健...

悩みって誰にもありますよね。

ほとんどの人は「悩める健康人」だそうです。

そういう方は専門家にちょっと行けばいいとは思います。



問題は悩める不健康な状態の方でしょう。

これは、睡眠も就寝時間もばらばらとか。

酒や薬の力で眠る習慣の方。

薬を定量で服薬しても、定量依存があります。

酒はどうしても睡眠の質をさげてしまします。

こうした事が歪みと言われている部分でしょう。



思い切って薬からの離脱を医師と話あうとか、

酒はもう断酒ですね。

あるいは休肝日を必ずもうけるとか。



歪みって修正できるんです。

良質の睡眠をとるという事が修正自体ですから。それだけだと思います。

思想や考え方を変える必要はないと思います。

これは歪みではないと思います。



実態のあるものしか修正できないです。

思考なんてころころ変わるもので実態ではないから矯正は無理でしょう。



こころの根源になるもの。睡眠。

それのゆがみに気がつくがどうかで、

だいぶ違います。



入院なんかすると、まずは断酒して就寝時間を守るでしょう。

そんな事だと思います。

健康的に悩む。悩める健康人になる。

そのほうがいいと思います。

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トラウマとの付きあい 彼氏彼女の事情

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

津田雅美氏の「彼氏彼女の事情」と言う漫画が昔ありまして、主人公が二人いて、主な登場人物の視点や感情も描かれるなかなか珍しい漫画です。 六甲学院時...

津田雅美氏の「彼氏彼女の事情」と言う漫画が昔ありまして、主人公が二人いて、主な登場人物の視点や感情も描かれるなかなか珍しい漫画です。

六甲学院時代の同級生に勧められたのですが、少女マンガと言うにはドロドロした部分もあって、好き嫌いが分かれる漫画です。

エヴァンゲリオンの庵野監督がアニメ化してるあたりも・・・。

(僕みたいなドロドロ系医療関係者は「気持ち悪くて読めない」ってイージーな人間が精神科には行くなよって思ってますが、現実にはそうでもありません)



主要キャラのうち、ほとんどが大きな事情や悩みを抱えており、普通の人はほとんどいません。

けれど、冷静に考えて、現実の我々もそうかもしれません。

家庭環境、経済環境、社会情勢の中で、歪んでいない人間は少数です。

歪んでないつもりでも、「無くて七癖」。

ちょっとした心理的傾向や生活の偏りは存在します。

(各地域、各国の文化などはその積み重ねですね)



また、歪んでない人間も歪んでいる人間のそばにいれば共鳴して歪んできます。

逆に歪んでいる人間が矯正される部分もあるかもしれません。



僕は歪んでいることを矯正することよりも、歪んでいる部分を認知することが大事だと思います。

なぜなら過去のトラウマとかが原因であれば、治せない歪みはあると思います。

震災被害者に、「そのうつ・ネガティブ連鎖は不健康」等と言っても追いつめるだけです。



「そういう部分とは別の思考や歴史を少しずつ積み重ねていきましょう」・・・と言う方が多くの人に受け入れられるのではないかと思います。

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事実の受け止め方はそれぞれで異なる。

のの

「心は歪んでいて当たり前」と私も思います。 現実がそれぞれの心にどう受け止められるか、それは人それぞれだと思います。 だからこそ、過去の自分の現...

「心は歪んでいて当たり前」と私も思います。

現実がそれぞれの心にどう受け止められるか、それは人それぞれだと思います。

だからこそ、過去の自分の現実を書きとめ、自分の現実を客観的に認識することによって、

自分の心の中の現実は、自分で変えられるんだという思いを持つことが大事なのかと思います。

「心は歪んでいて当たり前」という認識を持つことがまずは必要なのかと思います。

でも、実際は、特に強いストレスを受けているときに、それに気が付くのは難しいですね。

毎日、自分を見直す時間を持つ習慣をつけるのがいいのかもしれません。

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