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いきいき快適生活

介護・シニア

[読み得 医療&介護]自宅で入浴 諦めない

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手すりや床材改修 介護保険適用

 温かい風呂が恋しくなる季節。介護が必要な高齢者の中には、自宅での入浴を諦めてしまっている人もいる。だが、福祉用具を使ったり、介助の仕方を工夫したりすれば、自宅で風呂に入れる人は多い。

福祉用具を使って

 東京都内で息子と2人で暮らすA子さん(72)は、今年の夏から再び、自宅の風呂に入り始めた。

 20年前の脳梗塞で右足にまひが残り、失語症にもなった。浴槽をまたぐのが不安で、ずっとシャワーで済ませてきた。今春、腰の骨を折ってからは、デイサービスで車いすのまま入浴していた。自宅で風呂に入りたかったが、どうすればいいか分からなかったという。

 A子さんの願いをかなえたのは、リハビリで訪問した「成城リハビリテーションクリニック」(東京都世田谷区)の作業療法士、山本英里子さんたちだった。

 一般的に、風呂に入る時は立って浴槽をまたぐ。体が不自由になるとこの動作が怖くなり、入浴を諦める人が多い。だが、山本さんたちは、A子さんはツエがあれば歩けるため、自宅の風呂に入れると判断した。

 福祉用具の「バスボード」を使い、座った姿勢で入ることを勧めた。バスボードは浴槽のふたのような長方形の板で、浴槽の縁にかけて使う。ここに腰掛けてから体を浴槽に向け、足を湯に入れる。浴槽内には「浴槽内いす」も用意し、ここに座るようにした。

 さらに、浴槽に滑り止めのマットを敷き、本人の動きに合わせた手すりも追加。ヘルパーと一緒に練習をした結果、介助を受けて入浴できるようになった。山本さんは「本人の意欲に加え、浴室の構造や福祉用具などの条件が整えば、自宅で入浴できる人は多い」と言う。

 介護保険では、こうした支援は主に訪問リハビリや訪問看護の事業所が担当する。福祉用具の相談は、福祉用具ショップの専門相談員が受け付ける。まずは、担当のケアマネジャーに相談することが大切だ。

入り方の工夫で

 浴槽に入る動作を楽にする方法として、デイサービスなどを行う「在宅サポートセンター生田」(川崎市)の金田由美子センター長は、浴槽の脇にいすを置き、座りながら入る方法を勧める=右イラスト=。

 いすに座るとお尻に体重がかかり、足が動かしやすくなる。この姿勢で片足ずつ湯に入れていく。介助が必要な人の場合、後ろに倒れないように介助者が背中を支えるのがポイントだ。

 いすと浴槽は同じ高さにそろえ、床からの高さは40センチが理想。高過ぎる場合、すのこで調整する。金田センター長は「入浴に不安を感じた段階で、この方法に慣れておけば、安心して入浴が続けられる」と話す。

 浴槽から出る時は、片方の手をできるだけ伸ばして浴槽の縁をつかみ、つかんだ手と同じ側の足を体の方に引いて頭を前に出すと、浮力でお尻が浮く。この時、必要であれば介助を受けて浴槽の脇のいすに座り、片方ずつ足を出していく。

血圧の変化に注意

 高齢者は、健康面での注意も必要になる。

 寒い脱衣所で服を脱ぐと血圧は上昇し、浴槽で温まったりすると血圧は下がる。寒い脱衣所に戻ると血圧は再び上がる。「北千住訪問看護ステーション」(東京都足立区)の伊藤智恵子副所長は「高血圧や心臓疾患がある人は要注意。温度差をなくすことが重要です」と指摘する。

 対策としては、脱衣所を暖め、浴室はシャワーのお湯をしばらく出して湯気で暖めるのが有効。同ステーションでは、冬場の湯の温度は40度、室温は25度を目安にしている。

 心臓に病気がある人は、おなかのあたりまで湯につかる半身浴もお勧め。伊藤副所長は「脱水症状を防ぐため、入浴前後の水分補給を忘れないで」とアドバイスする。(小山孝)

介護保険が使える浴室の住宅改修の例
・手すりの取り付け
・床のかさ上げ
・滑りにくい床材への変更
・引き戸、折り戸への変更
◎要支援以上なら20万円(自己負担1割)まで利用できる。
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