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カルテの余白に

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藤澤浩美 兵庫医大病院がんセンター薬剤師(下)寄り添う姿勢 伝えたい

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 抗がん剤について高度な知識を持つ「がん専門薬剤師」の資格を持つ、兵庫医大病院(兵庫県西宮市)がんセンター専任薬剤師の藤澤浩美さん(48)は、抗がん剤の調剤や患者の副作用対策に取り組む傍ら、後進の育成にも力を注ぐ。がん専門薬剤師を目指すならば、「抗がん剤治療の全責任を負うという心構えが大切だ」と説いている。

実習に訪れた学生に医療器具の使い方を指導する藤澤さん(兵庫県西宮市の兵庫医大病院で)=永尾泰史撮影

 

大切なリスク伝達

 〈近畿圏内の各大学薬学部の実習生を指導するほか、兵庫医療大薬学部で週1回、抗がん剤治療の講義を受け持っている〉

 抗がん剤を処方するのは医師ですが、薬剤師は、処方に誤りがないか、副作用が起きないかなどに目を光らせねばなりません。学生たちには専門の薬剤師として責任感をしっかりと持つよう伝えています。

 〈マイナスとなる情報でも、患者に伝えなくてはいけないことがある〉

 「患者さんが不安になりませんか」。私が患者に抗がん剤の副作用リスクを伝える様子を見た学生は、よくこんな質問をします。

 確かにそういう面はあるかもしれませんが、残念ながら多くの場合、副作用を伴うのが現状です。命にかかわる重い副作用が出る場合もあります。

 事前に副作用の初期症状や表れやすい時期、対処法などを患者に丁寧に説明しておけば、いざ副作用が出た際、早めに伝えていただき、重症化を防げます。「だからこそリスクをしっかりと伝えることが大切」と教えています。

後進の活躍が楽しみ

 〈知識だけではなく、患者とのふれ合いが、学生たちを育てる〉

 実習生は、患者さんと接して多くのことを学びます。大腸がんの患者さんは、抗がん剤の副作用で体中に出た湿疹を見せてくださいました。学生は驚き、「治療を受ける患者さんの大変さを実感した」と話していました。

 自分と年の近い乳がん患者への服薬指導を見学した後、その女性のつらさを思い、涙を見せた学生もいました。みんなが「何とか助けたい」「もっと勉強します」と決意を口にします。

 若い人は「がん専門薬剤師は難しいイメージです」とよく言います。私は「目の前の患者さんを助けたいという気持ちの積み重ねが、がん専門薬剤師を育てる」と答えます。

 抗がん剤についての勉強はもちろん重要ですが、知識や技術だけでは務まりません。大切なのは、患者さんの苦しみに寄り添い、親身になってその解決を目指す姿勢だと思います。

 私が指導した若い人たちが、患者さんと接して感じた「助けたい」という気持ちを忘れず、いつの日にかがん専門薬剤師になって活躍してくれれば、これほどうれしいことはありません。(聞き手 竹内芳朗)

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