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(2)基調講演 よくかんで肥満予防

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東京医科歯科大歯学部教授 下山 和弘(しもやま・かずひろ)さん
 1979年、東京医科歯科大卒。2000年、同大助教授。04年から同大教授。日本老年歯科医学会専門医・指導医。
下山和弘さん

 私たちが食事をする時には、緊張をほぐし、消化吸収を促進する副交感神経が働きます。幸せな気分が得られる神経伝達物質「エンドルフィン」が脳内に分泌されます。

 でも、ただ食べれば楽しくリラックスできる、というわけではありません。家族や仲間の存在と、健康な歯が欠かせません。

 私は、高齢者の歯科を担当しています。一人一人を診察する際には、きちんとかんで食べているかをしっかり確かめています。

 かむことには様々な効用があります。

 大きな音を聞かせることで人にストレスを与える研究では、ガムをかんでいる時は、ガムをかんでいない時に比べると、感じているストレスの度合いが44%も軽減していました。

 また、長野県のある小学校では、給食の時に、かむ回数を数えるようにしました。すると、よくかんで食べるようになり、味が分かるようになり、給食を残す量が減りました。さらに分かったことは、肥満の児童は、肥満でない児童に比べて、かむ時間が約3分短かったのです。

 ゆっくりとよくかむことは、肥満を予防します。よくかむことは、脳の満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを抑えます。体脂肪を燃やして体重を減らす効果があるとも言われています。よくかまずに短時間に大量に食べると、血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が増えて糖が脂肪組織に取り込まれ、肥満につながります。

 いま話題のメタボリックシンドロームの健診で、「何でもかんで食べられるか」という質問をしたところ、よくかめない人は、血糖値や中性脂肪、肥満度の目安となる体格指数(BMI)が高い、という結果が出ています。

 かむことは、脳の血流を増やし、認知症の予防につながると言われています。歯を失うとアルツハイマー型認知症になりやすい、との研究が1990年ごろから出てきました。

 アルツハイマー型認知症は、食生活とも関係しています。野菜や果物、魚をよく食べると予防になります。簡単にできそうでも、歯が痛んだり、上手にかめなかったりすると、とても実践できません。

 最後に、かむ能力「咀嚼(そしゃく)能力」と、健康で暮らせる期間「健康余命」の研究について話します。みなさんは、普段の食事でかみ切れる食品のうち、最も硬いものは何でしょうか。

 4000人以上のデータを分析した研究では、さきいかやたくあんをかみ切れる65歳の人の健康余命は、男性17年、女性19年と報告されており、かみ切れない人の健康余命(男性14年、女性16年)の人より明らかに長くなっています。

 いつまでも元気で人生を楽しむため、まず、きちんとかめるようにしましょう。普段から、歯や義歯を手入れし、歯や義歯の具合が悪ければ、歯科医に相談することが大切です。

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