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最新医療~夕刊からだ面より

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がん5年生存率…各病院の特徴 読み解く

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 「全国がん(成人病)センター協議会」(全がん協)が、加盟病院ごとの5年生存率を公表した。

検査機器の差異や地域事情

 公表は、2007年、08年に続き3回目。今回は01~03年に診断を受けた10万人以上のデータを分析した。加盟31施設中、5年後の患者を確認できた割合が90%以上、がん種ごとの症例数が50例以上などの基準を満たした28病院について公表した。

 表は、胃、大腸、肺、乳、子宮(けい)がんについて、5年生存率と症例数を示した。がんが早期であるほど5年生存率は高くなるため、最も早期の1期の患者数を最も進行した4期の患者数で割った数値(1期/4期比)も合わせて示した。ホームページ(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/)では、1期~4期ごとのデータを見ることができる。

 5年生存率には、がんの進行度以外にも様々な要素が影響する。女性の方が生存率が高く、手術の割合が高いほど生存率が高いことから、ホームページでは男女比や手術率も示した。

 病院ごとの個別事情もある。最先端の検査機器を導入したことで早期がんが多くみつかるようになった施設もあれば、地域の「最後の(とりで)」として高齢者や持病のある人を多く受け入れている施設もある。各病院の背景事情なども説明されている。

 調査をまとめた群馬県立がんセンター院長の猿木(さるき)信裕さんは、「専門病院である全がん協の施設間では治療技術に差はなく、生存率の差は各病院の特徴によるものとみられる。医師と話し合う際の参考情報として活用してほしい」と話す。(岩永直子)

5年生存率

 診断から5年経過して生存している確率。がんは5年を過ぎると再発が減るため治療成績の目安となる。今回の発表データは、がん以外の病気や事故などによる死亡の影響を除いた「相対生存率」。5年を過ぎても再発が多いがんは、10年生存率を目安とすることもある。


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