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日野原重明の100歳からの人生

介護・シニア

新しい医療職「臨床研究コーディネーター」の登場

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 第12回「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」が先般、埼玉県大宮市のソニックシティで催された。これは、臨床研究コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)が集う学会である。

 新薬や治療機器を患者に適用する場合、その効力と共に危険(リスク)がどの程度表れるかを客観的に評価し、その結果を厚生労働省の治験認定を行う部門に提出し、そこでOKの評価が出ればGOとなって、医師は患者の日常診療で処方し服用することが許されるのである。このような一連の作業を治験と呼ぶのである。

 その治験を行う場合、患者を扱う医師がその効力の有無や副作用またはリスクを判定するのでは主観的な影響もあり得るので、第三者として、看護師または薬剤師または臨床検査技師などが客観的に評価する仕組みが必要となってくる。そこでコーディネーターとなる資格認定を得た者がこの役割を担うのである。

 新しい薬品を開発するのは薬品メーカーであるが、新薬が動物実験を終えて人体に使用されるには、以上のプロセスを必要とする。

 そこでこのコーディネーターが勉強会をし、治験の例を発表する学会が「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」という名称で催されてきたのである。

 この第12回の会議は、聖路加国際病院の教育・研究センター研究管理部所属、臨床治験コーディネイターの石橋寿子さんが議長となったのである。彼女はもともと看護師だったが、この働き甲斐のある職業に転職したのである。

 この会議の第1日目の夕刻、私は、45分の特別講演を行った。演題は「いのちの大切さのために医学は何をしてきたか、その反省と将来」と題した講演をした。

 先ず戦争中に医学は進歩することをとり上げ、日本が日支事変で人体実験を行ったことや、アメリカがベトナム戦争で枯葉作戦を行ったことが引き起こした罪悪を批判した。人体実験により医学は進歩したがこれは悪魔的人体実験である。

 私は、W.オスラー博士の「医学はサイエンスに支えられたアートである」という言葉をひき、患者に接する医師や医療従事者の態度や言葉が医の技(わざ)とされることを述べた。 外科医は傷を癒すというが、アンブロア・パレという有名な外科医は、「医師が包帯し、神が癒す」といった。

 3000名を超える大会場に集まった会員に対して私は以上のメッセージを述べることができた。


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日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
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