文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

最新医療~夕刊からだ面より

医療・健康・介護のニュース・解説

円形脱毛症…免疫異常で毛根に炎症

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 ある日突然、髪の毛が円形に抜け落ちる円形脱毛症。2010年に日本皮膚科学会の指針が策定され、年齢や症状に応じた治療の選び方が示された。


 円形脱毛症はコイン大の脱毛と思われがちだが、状態は様々で、まゆ毛はじめ全身の毛が抜けてしまう「汎発(はんぱつ)型」まである。

 ウイルスや細菌を排除するリンパ球が、毛根を「異物」と勘違いし、攻撃してしまうことで起こる。毛根が炎症を起こして、毛の根元が細くなったり、途中で切れてしまったりする。なぜこういった免疫異常が起こるかはわかっていない。

 男女差はなく、10歳代、20歳代で初めて起こることが多い。自然に治ることもあるが、予測は難しい。範囲が広いほど治りにくい。

 順天堂東京江東高齢者医療センター(東京都江東区)皮膚科先任准教授の植木理恵さんは、「脱毛が止まらない、発症から3か月たっても発毛がない、といった場合は、皮膚科専門医を受診してほしい」と話す。

 指針は、〈1〉年齢〈2〉脱毛範囲〈3〉脱毛が進んでいる「進行期」か症状が落ち着いた「固定期」かで、治療法を決める手順を示した。

 固定期では、脱毛部位への、免疫や炎症を抑えるステロイド注射や、局所免疫療法が効果的とされる。

 局所免疫療法は、脱毛した頭皮に、わざとかぶれを起こす薬を塗る。正常なリンパ球を脱毛部位に集め、炎症を抑えようというものだ。痛み、脱毛範囲が広い(頭部全体の25%以上)との理由でステロイドの局所注射ができない人や、注射の効果がない場合に用いられる。効果には個人差がある。

 進行期に脱毛をすぐに止める治療はない。抗アレルギー剤やステロイドの飲み薬や塗り薬を使い、急速に脱毛が進む大人には、入院してステロイドを3日間、大量に点滴(パルス療法)する治療も行われている。

 一方、15歳未満の子どものステロイド治療は、副作用を考え、点滴や局所注射、飲み薬の治療は原則行わず、塗り薬のみを使う。

 パルス療法は、大阪大の調査で、発症後半年以内に治療を始めた患者の改善率は59%と半年以降の16%に比べ高く、早く治療を始めた方が良かった。ただし、早期には自然に回復した患者も多く含まれるとみられ、実際の治療効果はもっと小さいとの見方もある。

 いずれの段階でも、抗炎症作用などがある飲み薬(セファランチンやグリチルリチン)や、紫外線などによる光線療法、液体窒素を使う冷却療法を併用することもある。

 治療を受けても効果がみられない場合もあり、患者会「JAAC」(ジャック=日本円形脱毛症コミュニケーション)では、高額なかつら代の補助や研究の充実を求める署名運動を続ける。理事長の岡田幸雄さん(57)は、「精神的に弱い人がなるとの偏見も根強く、いじめにもつながる。周囲に隠そうとして、学校や職場に居づらくなり、人との関わりも減っていくという深刻な問題も知ってほしい」と話している。(中島久美子)

・JAAC(日本円形脱毛症コミュニケーション) http://www.jaac.info/

・円形脱毛症を考える会 http://www.hidorigamo.com/ (電)03・3874・8835


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

最新医療~夕刊からだ面よりの一覧を見る

最新記事